オスグットシュラッター病-成長期の膝のお皿の下の痛み

大阪市住吉区長居西 藤田鍼灸整骨院

オスグットシュラッター病:走ると膝が痛む、成長期膝前面の痛み、お皿の下の骨が出っ張っているなど

 

子供の頃のすねの骨(脛骨)について

 

すねの骨である脛骨の上下部分はそれぞれ骨端部と呼ばれ、子供の頃、骨端部は骨端軟骨(こったんなんこつ)という骨の成長にとても重要な成長軟骨で出来ています。

オスグッドシュラッター病・成長軟骨と骨端核、脛骨粗面の様子|住吉区長居藤田鍼灸整骨院

オスグッドシュラッター病
成長軟骨と骨端核、脛骨粗面の様子

 

そして骨の成長とともに成長軟骨がある部位には、多くの血液や栄養を受け止めて、より骨を成長させるための骨端核が出来てきます。

また、お皿と言われる膝蓋骨の少し下の辺りには、脛骨粗面と呼ばれる太ももの筋肉である大腿四頭筋の腱が付く部分があり、子供のころはその部分も軟骨です。

脛骨骨端部の骨端核や成長軟骨、脛骨粗面部の成長軟骨は、骨を成長させながらも大人になるにつれ、その軟骨自体も骨へと変化していきます。

 

詳しく説明をすると脛骨粗面の発育過程はこんな感じです(Henardらによる)

 

年齢が10歳から11歳頃になるとお皿の下辺り(脛骨近位骨端核)が前下方にくちばし状に発達し、これに遅れてその下の脛骨粗面部が軟骨から骨に変わっていきます。

オスグッドシュラッター病脛骨粗面骨化核と骨端核の変化|住吉区長居藤田鍼灸整骨院

オスグッドシュラッター病
脛骨粗面骨化核と骨端核の変化のイメージ

 

13歳から15歳になると脛骨近位骨端核とその下の脛骨粗面部が癒合し舌状突起と呼ばれる状態になります。

オスグッドシュラッター病・舌状突起の形成|住吉区長居藤田鍼灸整骨院

オスグッドシュラッター病
舌状突起の形成

 

18歳では脛骨の中心部である脛骨体部と、上の部分の舌状突起の骨癒合が完成するのでレントゲン上では脛骨の上部にあった骨の隙間が無くなります。

オスグッドシュラッター病骨端部と脛骨体部が近位部から癒合していく|住吉区長居藤田鍼灸整骨院

オスグッドシュラッター病
骨端部と脛骨体部が近位部から癒合していく

オスグッドシュラッター病成長軟骨が骨化して骨端線が閉鎖する|住吉区長居藤田鍼灸整骨院

オスグッドシュラッター病
成長軟骨が骨化して骨端線が閉鎖する

 

このように成長期の脛骨粗面部には骨が成長するための骨化核や成長軟骨があり、その脛骨粗面部がしっかりとした骨になるのは18歳頃になるため、それまでは弱く脆い状態が続きます。

その弱く脆い状態の部位に膝を伸ばす時に使う、太もも前面の筋肉である大腿四頭筋の引っ張る力が加わることがオスグッドシュラッター病の大きな要因となるわけです。

 

オスグットシュラッター病とは

 

発育期(10~15歳ぐらい)の活発な小中学生やスポーツをしている子供にみられる、膝のお皿の少し下に痛みを伴う成長期のスポーツ障害です。

オスグットシュラッター病は女子よりも男子に多くみられ、バスケットボールやサッカー、バレーボールなどのスポーツに多発しますが体育以外の運動をしていない子供でもみられます。

 

オスグッドシュラッター病は

 

オスグッドシュラッター病はスポーツ全般で見られますが、ジャンプ動作やダッシュ、キック動作などにより、大腿四頭筋が収縮を繰り返すことで大腿四頭筋が付着する脛骨粗面部が引っ張られ続けることが主な原因です。

また、オスグットシュラッター病は軸足に多く発症します。

それは軸足にジャンプの踏切りなど大腿四頭筋が収縮することで膝を伸ばそうとしている時に、膝関節が伸びずに曲がろうとする力が働くと、脛骨粗面を引き寄せる力が働いているのに脛骨粗面が離れていくことになるのですから、そこには大きな牽引力がかかってしまうためと考えられています。

 

オスグットシュラッター病になると

 

オスグットシュラッター病になると、ジャンプなどの運動時に大腿四頭筋を強く収縮させることで脛骨粗面部に痛みを感じますが、はじめのうちは安静にすると楽になります。

脛骨粗面部に軽度の腫れや熱感、圧痛、脛骨粗面部に骨の出っ張りがみられることもあります。

 

進行すると、歩行時や階段昇降時にも痛みが出現することがあり正座でもよく痛みます。お皿の下の部分にある脛骨の骨の出っ張りもよく見られ、膝を曲げた状態から伸ばしていく時に抵抗を加えると痛みが誘発されます。

 

オスグッドシュラッタ―病を疑うとき

 

臨床症状の確認、レントゲンや3DCT、MIRなどにより病期や病態を判断していきます。

 

  • レントゲン写真での分類(レントゲン写真で判断をする場合)

 

  1. 初期:脛骨粗面部に限局性透亮像を認める(骨に透けたような個所が存在する)
  2. 進行期:分離・分節像を認める(骨にささくれのような、剥がれたようなものが見える)
  3. 終末期:遊離体形成を認める(分離したものが丸みを帯びたように見えることで、分離してから日にちが経過していることが分かる)

となっていますが、この場合レントゲンよりも3DCTの方が分かりやすいと思います。

 

  • MRIの画像による分類

 

  1. 初期:MRI像が正常、もしくは脛骨粗面周囲の炎症像
  2. 進行期:脛骨粗面の骨または軟骨の部分的剥離像
  3. 終末期:完全に分離した遊離体の形成
  4. 治癒期:発症後、骨性の治癒機転により遊離体を形成せずに治癒したもの

となっており、病態の判断にはMRIで見た方がイメージしやすいと思います。

 

オスグッドシュラッタ―病になった時は

 

スポーツの中止やアイシングなどで患部の安静と炎症を抑える保存療法が効果的です。

予防としては、大腿四頭筋のストレッチが重要です。

 

当院では

 

患者さまの生活状況や競技大会の予定、痛めた個所の状態に合わせてスポーツの中止や、スポーツ後のアイシングやストレッチなどの指導を行っていきます。

また、休息の取り方はもちろん、歩行や筋力トレーニングの見直しなど体の悪い癖の改善も合わせて行います。

他に大腿四頭筋の牽引による負担を軽減するために、手技療法で筋肉の緊張を緩めたり痛みを取るためのハイボルト療法、痛みの強い場合には負荷を減らすためにシュラッテルバンド(オスグット用の装具)の装着をすすめたりしています。

 

成長期には急激に身長が増加するために骨も急成長していきますが、軟部組織(筋肉や腱など)は同じようには成長出来ないことがあります。

オスグットシュラッター病は成長期に軟部組織の成長が追い付かないことや、急速に発達していく筋力に対してその筋肉が付く脛骨粗面の強度が足りないために発症する成長期特有の疾患です。

(大人になり同じような大腿四頭筋のけん引力が働くと脛骨粗面は強くなっているので骨は剥がれずに、その上の膝蓋靭帯が炎症を起こし痛みを出す膝蓋靭帯炎になることが多くなります)⇒ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)-膝周囲の痛み・スポーツによる膝の障害

 

痛みを抱えたままスポーツを続けられている子供さんも多いと思いますが成長期の大切な時期ですから、思い切って体を休めることで回復に専念する決断が必要なケースもあります。

スポーツを熱心にされているお子様の多くは試合に出たいこと、休むとレギュラーから外されてしまう不安など、スポーツを休むという行為には休んではいけないという気持ちが常に付きまといます。

しかし100%の力ではなく痛みを抱えたまま行う運動はレベルアップもせず、多少は体力を維持するだけの意味の薄い行為になる場合もあります。

はたしてそれが必要なのか、しっかりと休み、出来るだけ痛めた個所を回復させてから100%の力プレーできる日を早めた方がいいのかの見極めが大切です。

痛めた個所を休めることが最良だと思われる時には周りの大人たちの冷静な判断と、本人の気持ちを汲み取った上で、時間をかけて納得してもらうことが大切だと思います。

その間に鍛えられる個所を鍛えたり競技の知識を深めることは、毎日必死でやっていた練習よりも得るものが多いこともあります。

完全休養から復帰できた時には今までになかったパワーやスピード、体の使い方や体を休めることの重要さなど1周りも2周りも成長できているかもしれません。

これからも競技を続けるかぎりケガやスポーツ障害はついて回ります。

休むなら真剣に休むこと!!

今のそのケガやスポーツ障害が、その取り組み方により予防や復帰に強い選手になれるきっかけかもしれません。

お子さんが足の痛みを訴えられた時は、ぜひ当院へご相談ください。

 

大阪市住吉区長居西3-1-33

藤田鍼灸整骨院

06-6698-4568

 

参考文献

 

福原 隆志・坂本 雅昭。中澤 理恵・川越 誠・加藤 和夫(2009)『オスグッド・シュラッター病発症からの期間と大腿四頭筋の柔軟性についての一考察』第45回日本理学療法学術大会 抄録集

荒木 貴士・古市 格・井上 拓馬・小河 健司・渡邉 航之助・秋山 隆行・桑野 洋輔(2016)『サッカーにて生じた小児の脛骨粗面骨折の1例』整形と災害外科65,707~710

池田 浩・黒澤 尚(2007)『Osgood-Schlatter病』最新整形外科学大系.中山書店

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