大阪市住吉区藤田鍼灸整骨院
肩甲上神経麻痺:肩を動かしづらい、肩周囲に痛みを感じる、肩周りの筋肉が痩せてきた、肩を大きく動かすスポーツでのスポーツ障害など
肩甲上神経とは
肩甲上神経(C5-6)は、背中にある肩甲骨の上部にある棘上筋と下部の棘下筋を支配する神経です。
肩甲上神経は、頚椎から出た神経が複雑に入り組んで出来る腕神経叢の上神経幹から起こり、首と肩関節の間あたり(よく肩がこると言って押さえるあたり)を通り、その後ろにある肩甲骨の上部中央付近に出てきます。
そして、肩甲切痕と上肩甲横靭帯の間を通過し、肩関節に関節枝、棘上筋に運動枝を出し、肩甲棘の外側から肩甲棘下に回り込み、肩甲棘基部外側迂回部で棘窩切痕と下肩甲横靭帯の間を通過し、棘下筋に運動枝を分布します。
肩甲上神経麻痺とは
肩甲上神経麻痺とは、肩甲骨上部にある肩甲切痕部やその後方にある肩甲棘基部外側迂回部という部位で肩甲上神経が圧迫されることなどにより引き起こされる神経障害です。
神経が圧迫される原因としては、ガングリオンや周辺組織(靭帯や関節包)などによるものが多いようです。
他にも、骨の棘(骨棘)により圧迫されたり、バレーボールや野球のように腕を上げることを繰り返すスポーツで神経自体が牽引されたりして損傷するなどケースもあります。
肩甲上神経麻痺になると
肩甲上神経麻痺になると肩が重い感じがする、腕が水平以上あげられない、肩周りのしびれ感、肩周りの違和感、肩周りの筋肉が痩せてくる(筋委縮)などの症状が出てきます。
また、肩甲上神経麻痺は圧迫を受ける部位(肩甲切痕部、肩甲棘基部外側迂回部)により症状が現われる場所が異なります。
・肩甲切痕部で圧迫を受けた場合
棘上筋と棘下筋の筋力低下や萎縮がみられます。肩の外転や外旋がしにくくなったり、肩関節周りに痛みが生じたりします。
・肩甲棘基部外側迂回部で圧迫を受けた場合
棘下筋にのみ症状が出ます。棘下筋が障害を受けると、下垂位での肩関節外旋の筋力低下が起こります。
肩甲上神経麻痺を回復させるには
神経の牽引や圧迫が原因である場合は、安静や筋緊張の緩和など保存的に回復させていくのが基本となります。
特に神経を圧迫している可能性のある部位の周りの筋緊張を緩和し、神経の圧迫が取り除けるようにしていくことが重要です。
ガングリオンが原因で圧迫を受けている場合は、穿刺によってガングリオンを潰したりすることもあります。
筋肉の委縮に対しては、EMSという電気治療なども有効です。
保存的に経過をみても回復しない場合には、神経を圧迫している原因を取り除く手術が行われることもあります。
肩甲上神経麻痺は、腕を外側へ挙げられなかったり肩周囲に痛みを感じたりする場合に疑われる疾患の一つになりますが、肩の腱板損傷との見極めも必要です。
見極めには鍼筋電図検査をしてくれる医療機関がおすすめです。
また、ガングリオンを疑う場合や腱板損傷との見極めにはMRI検査が有用です。
肩周りの痛みや違和感などの原因には様々なものがあります。
原因を特定しない事には回復は望めませんので、気になる症状がある方は、ぜひ一度当院へご相談ください。
大阪市住吉区長居4-5-18
藤田鍼灸整骨院
06-6698-4568
参考文献
落合直之:肩甲上神経麻痺,最新整形外科大系,第22巻抹消神経疾患 筋疾患 循環障害,第3章末梢神経麻痺(絞扼性神経障害),48-52.中山書店,1999.
三浦清司,黒川正夫,鎌田圭司,荒井義之,高井信朗,玉井和夫,平澤泰介:肩甲上神経麻痺と腋窩神経麻痺における肩の三次元動作解析,TheShoulderJoint,Vol.19,No.1,206-211,1995.
松永 英裕・城戸 正喜・権藤 英資・田中 幹夫・竹下 満・高岸 直人:肩甲上神経単独麻痺3例の経験,整形外科と災害外科,第35巻1号,261-264,1986.