大阪市住吉区長居藤田鍼灸整骨院
踵骨骨折:強い痛みで踵がつけない、高所からの転落や階段を踏み外して踵を強打したなど
踵骨骨折とは
踵骨とは踵を形成する骨で、上方には距骨、前方には立方骨が存在し、踵骨は体重を支えるのに重要な働きをします。
そして踵骨骨折は、高所からの転落や階段を踏み外すなど、踵に強い衝撃が加わることにより生じます。
踵骨骨折になると
踵骨を骨折すると、踵周囲に受傷直後から踵に体重をかけられないほどの強い痛みがみられます。
その他にも強い腫れや踵を押したときの痛み(圧痛)、足首を動かしたときの痛み(運動痛)、皮下出血などがみられます。
踵骨骨折の分類
単純X線分類
踵骨骨折の分類は沢山ありますが、X線撮影時の踵骨骨折の判断に使われる分類としてはEssex-Loprestiの分類が最も多く使われます。
踵骨骨折は後距踵関節に骨折線が入っているかどうかで、その後の痛みや機能障害などの問題が出るか否かが変わってきます。
よって関節外骨折と関節内骨折で分けることは、治療を行っていくうえでとても重要であるために、この分類は実用的なのです。
Essex-Loprestiの分類(参照:図説 足の臨床 改訂版 メジカルビュー社;1998.p.193-204)
- 関節外骨折
・踵骨隆起骨折(鴨嘴骨折 踵骨隆起内側突起骨折)
・踵立方関節に骨折線が及ぶもの
- 関節内骨折
・転移のないもの
・舌状型
・陥没型
・載距突起単独骨折
・粉砕型
CT分類
CT撮影時の踵骨骨折の治療方針の指針としては後距踵関節の損傷度に注目したSanders分類がよく用いられます。
踵骨骨折損傷度による分類
Sanders分類
この分類では後距関節面を3分割して骨折線の本数と部位から分類して、その骨折タイプになるとその後どうなる可能性が高いのかを示しています。
- Type1
Sandersのタイプ1とは骨折線の数は関係なく、骨折をした個所にずれのないものであり、このタイプは手術をしない保存療法でも予後は良好だとされます。
- Type2
タイプ2は、図のA,B,Cの骨折線の位置の、いずれか1個所の位置で骨折したもので、手術を行えばその後は良好な状態になることを期待できるとされます。
- Type3
タイプ3は、図のA,B,Cの骨折線の位置の、いずれか2個所の位置で骨折したものであり、手術をしてもその後の状態はあまりよくないとされます。
- Type4
タイプ4は、図のA,B,Cの骨折線の位置の、3か所すべての個所の位置で骨折したものや粉砕骨折を起こしたもので、この場合は一次的に距骨下関節固定術を選択することが推奨されています。
踵骨骨折を回復させるには
踵骨骨折が発生する時には、上方より距骨を通じて強い圧迫力がかかるため、壊れた踵骨はさまざまな形に変形するのですが骨折の程度や転位の大きさにより治療法が異なってきます。
骨折の程度が軽度で転位も大きくない場合には、徒手整復にて骨折した踵骨を元の位置に戻したあと、6~8週間ギプス固定を行う保存療法を行います。
保存療法では、はじめの2~3週間は体重をかけないようにし、3週以降は徐々に体重をかけられるようにしていきます。
6~8週間後ギプスがとれたら足底板を用いて、踵への負担を軽減しながら、体重をかけられるように治療を続けていきます。
しかし、粉砕骨折のように骨折の程度が強く転位も大きい場合には、手術による整復と固定が行なわれます。
手術を行った場合でも、術後はギプス固定を行い、徐々に体重をかけられるようにしていきます。
いずれの場合も踵骨骨折は、出来る限り元の形に戻し骨癒合させることと、骨が弱くなってしまわないようにすることが重要になります。
それは治療上どうしても体重をかけないようにする期間があり、体重をかけないから骨がずれたり潰れたりしないのですが、体重をかけないと骨はもろくなってしまうからです。
この二つは相反するものですから、よく様子を見てバランスを取りながら慎重に行わなければなりません。
踵骨骨折は治療終了後も歩行時の痛みや坂道、凸凹道での歩行のし辛さ、長時間の立位が出来ないなどの後遺症が残ってしまうこともあるので注意が必要です。
転落や階段の踏み外しなどで踵を強く打って痛む、踵が付けないぐらいに痛いなど、気になる症状がある方は、ぜひ当院へご相談ください。
大阪市住吉区長居4-5-18
藤田鍼灸整骨院
06-6698-4568
参考文献
北田 力「踵骨骨折」(2006)最新整形外科学大系,18巻11章,P370~376.中山書店