大阪市住吉区長居西 藤田鍼灸整骨院
テニス肘、上腕骨外側上顆炎、肘の使い痛み、手を使うと肘が痛む、物を持ち上げると肘が痛む、テニスエルボーバンドの正しい付け方
テニス肘とは?
肘関節の外側にある骨の出っ張りを上腕骨外側上顆といいます。
そこには短橈側手根伸筋や長橈側手根伸筋、総指伸筋などの筋肉の腱が付いているのですが、普段それらの筋肉を繰り返し使っていると、その筋肉が上腕骨外側上顆に付いている個所に小さな損傷や炎症を起こすことになります。
筋肉を繰り返し使うことが一定期間である場合やしっかりと筋肉を休める時間があると、その筋肉の小さな損傷や炎症は治まるのですが、筋肉の使用頻度が多い状態が続くと小さな損傷や炎症を積み重ねていくことになります。
すると手を握った状態で手首を反らせたり肘の外側を上に向けた状態で物を持ち上げたりすることで、肘に強い痛みを感じる様になります。
この状態が上腕骨外側上顆炎であり、それをテニスをする人がなることもあるためにテニス肘とも呼ばれるわけです。
テニス肘と上腕骨外側上顆炎はほとんど同じ状態のことを指すのですが、テニスをしていることで痛みを感じ出したらテニス肘、その他の手を使うことなどで痛み出したら上腕骨外側上顆炎と呼びます。
また、よく言われる肘の使い痛みもこの状態のことを指していることが多いと思います。(以下テニス肘)
基本的にテニス肘とは短橈側手根伸筋腱などが骨に付く場所で起こる炎症や痛みのことです。
しかし、テニス肘とされる状態の中には
- 表層部の軟部組織の炎症(滑液包炎、石灰沈着性滑液包炎)
- 伸筋腱起始部の損傷
- 関節内病変
- 橈骨神経の絞扼性神経障害
などが含まれているケースもあります。
テニス肘になる原因
テニス肘になる原因は、繰り返し手首を反らすような動作や、手の甲を上にした状態で物を持つような動作を行うことです。それにより、はじめは外側上顆に炎症が起こるだけですが、しだいに腱の小断裂などが起こると言われています。
また、上腕骨外側上顆周辺の血行不良によっても起こりやいすと言われています。
テニス肘の特徴
テニス肘の特徴ですが、テニス肘に男女差はあまり関係ありません。
テニス肘とは言われていますが、実際にテニスで起こる人は全テニス肘中で言えば5%以下です。
テニス肘はスポーツよりはむしろ主婦としての仕事や職場での腕の使用、お子さんの抱っこを繰り返すことなどにより起こることが多いのです。
しかし、全テニス肘の中において実際にテニスで発症する方の割合は少ないとはいえ、やはりテニスをしている方の中ではテニス肘になる方は多いです。
テニスによるテニス肘になりやすい条件は
- バックストロークの時に手首を返してしまうこと
- 重いラケット
- ストリングスのテンション硬め
- 硬いコート
などの条件で痛める確率は高くなります。
またテニス肘は、年齢的には30歳代から50歳台に多くなります
それは・・・
加齢とともに筋肉や腱を構成する組織は弱ってくる。そこに腕の使用による繰り返しの炎症を起こす。
その繰り返しにより組織が元の組織とは違う弱い組織で再生されると今までは耐えれていた作業ですら耐えられなくなり痛みの出やすい状態になっていくことや、加齢とともに回復のカギとなる血流なども低下することで症状が出やすくなるわけです。
テニス肘になると
テニス肘になると、物をつかんで持ち上げたり雑巾を絞るような動作で肘に痛みを感じます。
さらに細かい特徴を言いますと、
- 肘の外側の出っ張り(上腕骨外側上顆)より手の方へ1~2cm下がった所を押すと痛む
- 肘を伸ばし手を握った状態で、手首を反らす動きに抵抗を加えると肘に痛みが出る(トムセンテスト)
- 肘を伸ばし手を開いた状態で、中指に曲げる力を加える。その曲げる力に抵抗して指に力を入れ伸ばそうとすると肘に痛みが出るなどがあります。
テニス肘は橈骨管症候群との判別が必要です。橈骨神経の支配領域に知覚異常があり、3か月以上肘外側の痛みが続き橈骨管に圧痛がある場合は、筋電図などの詳しい検査も考えて頂きたいと思います。
また肘の障害には、弾発肘や離断性骨軟骨炎、関節リウマチなどがあり、その他にも肘には以下のような様々な障害が発生しますから、詳しい観察、判別ができる医療機関や治療院でみて頂いて下さい。
肘の外側 | 離断性骨軟骨炎 |
テニス肘(上腕骨外側上顆炎) | |
後外側回旋不安定症 | |
外側側副靭帯損傷 | |
肘の内側 | 尺骨神経障害・尺骨神経脱臼 |
内側側副靭帯損傷 | |
上腕骨内上顆炎 | |
回内筋・屈筋群の筋損傷や炎症 | |
内側上顆骨端線離開 | |
肘の後ろ側 | 肘頭骨端線離開 |
肘頭骨端炎 | |
その他 | 変形性肘関節症 |
テニス肘の施術
テニス肘は仕事の内容がどうしても手を使わないといけない、またはテニスを休むわけにはいかないといった事情がある場合も多いので、その時には長期化する傾向があります。
しかし、テニス肘の治療はそのほとんどが保存療法です。
手関節背屈など手の使用を控えることや、前腕の伸筋群のストレッチやマッサージまたは鍼灸施術などを行います。
テニス肘ー当院では
当院では急性期の場合は患部には触れません。
患部が悪化しない範囲の刺激を筋肉に加えることで筋肉の疲労や硬さ、ツッパリ感を取り除きます。
状態が落ち着いてきた場合や、慢性化しているものは患部に刺激を加えていきますが、この場合の刺激量はとても微妙なものになるので経験が必要です
また、装着可能であればテニスエルボーバンドなどの装具を付けることが出来れば回復の可能性は上がってきます。
ただしテニスエルボーバンドなど装具を付ける時は、炎症に強さや痛む範囲によって付ける位置の調整が必要です。
当院では強い痛みのある範囲を避けた場所に付けます。
多くは上腕骨外側上顆から手首に向かって約5cm前後の位置になることが多く、その痛みが少なく、そこに付けることで手首を反らした時の痛みが最も治まるポイントをバンドのパッドでしっかりと抑え込めるように装着します。
痛みのある個所にかかってしまうと痛みが増すこともありますので、手首を反らせた時や腱や筋肉を押さえて痛みのある範囲をよく確認し、臨機応変に痛みが抑えられる位置をよくさがしましょう。
テニスエルボーバンドはよく皮膚を挟み込んで皮膚を痛めることもありますから、肌着の上から付けたり、圧迫しすぎない肘や前腕用のサポーターの上から付けたりすると皮膚の挟み込みは少なくなります。
大阪市住吉区長居西3-1-33
藤田鍼灸整骨院
06-6698-4568
参考文献
石田 治:(1999)『テニス肘』最新整形外科体系,23巻,第5章,スポーツによる肘・前腕の障害・外傷,p193-198.中山書店
河上敬介・小林 紘二・辻井洋一郎・兼松美紀(1995)『いわゆるテニス肘の痛みに関連する筋硬結』理学療法学,第22巻,学会特別号.