大阪市住吉区長居西 藤田鍼灸整骨院
ギオン管症候群(ギヨン管症候群):手のしびれ、手の小指側がしびれる、手の細かい動きが上手く出来なくなる、手の筋肉がやせてきたなど
ギオン管とは
人の手のつけ根辺りには
舟状骨(舟状骨)
月状骨(げつじょうこつ)
三角骨(さんかくこつ)
豆状骨(とうじょうこつ)
大菱形骨(だいりょうけいこつ)
小菱形骨(しょうりょうけいこつ)
有頭骨(ゆうとうこつ)
有鈎骨(ゆうこうこつ)
というサイコロのような小さい手根骨(しゅこんこつ)と呼ばれる骨が上下に8個並んでいます。
その先には中手骨(ちゅうしゅこつ)があり、手根骨とその先にある5本の中手骨で手のひら、手の甲と呼ばれる部位は構成されています。
ギオン管とは、手の平のつけ根の小指よりにある豆状骨と有鈎骨で作られる溝、および豆鈎靭帯と呼ばれる骨をつなぎとめるバンドなどで構成されるトンネルのようなもので、その中を尺骨神経と尺骨動静脈が通っています。
そのギオン管の中を通っている尺骨神経は、ギオン管の中で感覚を司る浅枝(せんし)と筋肉を動かす深枝(しんし)に枝分かれします。
ギオン管症候群とは
ギオン管の部分で、圧迫や神経を引っ張られる力などが継続的に加わることなどで発生する神経障害のことです。
ギオン管症候群になる原因と環境
ギオン管症候群は手首の使い過ぎやギオン管への直接的な負荷により発生します。
具体的には、
・手首をよく使う仕事
・転倒時に手をついたときの外力
・字を書いたりパソコンのマウスを使ったりするときの慢性的な圧迫
・手首骨折後の神経周辺の癒着
・サイクリングでのハンドルによる長時間の手首の圧迫
・加齢に伴う手関節の変形で、手根骨に骨の棘が出来たことなどによる圧迫
・手関節から発生するガングリオンによる神経の圧迫
などがあります。
ギオン管症候群になると
手の平から先の小指や薬指側がしびれたり感覚が低下したり、手の細かい作業が出来なったり(巧緻運動障害)、手部の筋肉が萎縮するなどが出ます。
ただし尺骨神経は、ギオン管内で分枝しているため、障害を受ける場所により現れる症状が異なります。
運動障害のみ、感覚障害のみ、あるいは運動・感覚障害両方などが出るケースがあります。
ギオン管症候群を回復させるには
保存療法として、装具なども使った局所の安静、医療機関では内服薬(ビタミン剤や消炎鎮痛剤)、低周波などの理学療法などを行うことがおおいとおもいます。3か月ほど保存療法で経過をみて回復しない場合には手術療法も検討されます。
最後に
近年はパソコンが日常的に使われるようになり、それに伴いマウスを使う機会が増えています。
そうなるとギオン管への外部からの負荷が増え、尺骨神経を圧迫してしまう事にもつながります。
特に外傷や手首を使いすぎたという自覚がなくても、これからは増えてくる可能性がある疾患だと思います。
また、手の小指側がしびれる疾患には、ギオン管症候群の他に肘部管症候群、胸郭出口症候群、頸椎症性神経根症状、頚椎椎間板ヘルニアなどの神経根症状などもあります。
それらは原因と思われる場所を叩くことでその先に痛みやシビレが走るチネルサイン(ギオン間の場合は小指とくすり指の一部にしびれや痛みが走る)やシビレや知覚低下の範囲などを丁寧に観察することにより見極めは可能だと思います。
見極めをしなければやってはいけないことや行うべきケア、それに治療方法などがすべて変わってきます。
どのような疾患でも原因を特定しないことには回復は望めませんので、皆さんも体に異常を感じた時は、根拠に基づいた正しい検査法で体の異常を見極めて、正しい治療法を受けて頂きたいと思います。
大阪市住吉区長居西3-1-33
藤田田鍼灸整骨院
06-6698-4568
参考文献
江上 貴子・中山 祐子・冨田 由美子・鈴木 加奈子・伊藤 順子・一山 智(2014)『Guyon管症候群の神経伝導検査による検討』医学検査 63巻1号,41-47
長岡 正弘(2007)『Guyon管症候群』最新整形外科学大系.中山書店