大阪市住吉区長居藤田鍼灸整骨院
ギオン管症候群(ギヨン管症候群):手の小指側がしびれる、手の細かい動きが上手く出来なくなる、手の筋肉がやせてきたなど
ギオン管とは
人の手は、手根骨(舟状骨・月状骨・三角骨・豆状骨・大菱形骨・小菱形骨・有頭骨・有鈎骨)、中手骨、基節骨、中節骨、末節骨で構成されます。
ギオン管とは、豆状骨と有鈎骨、および豆鈎靭帯などで構成されるトンネルのようなもので、その中を尺骨神経と尺骨動静脈が通っています。
そして、尺骨神経はギオン管の中で、浅枝(感覚枝)と深枝(運動枝)に分枝しています。
ギオン管症候群とは
ギオン管の部分で、慢性的な圧迫や牽引などが加わることで発生する神経障害のことです。
ギオン管症候群になる原因
ギオン管症候群は、手首の使い過ぎやギオン管への直接的な負荷により発生します。
具体的には、
・手首をよく使う仕事
・転倒時に手をついたときの外力
・字を書いたりパソコンのマウスを使ったりするときの慢性的な圧迫
・手関節部の骨折後の神経周囲の癒着
・長時間のサイクリングでのハンドルなどによる手関節部の圧迫
・加齢に伴う手関節の変形で、手根骨の骨棘(骨の棘)などによる圧迫
・手関節から発生するガングリオンによる神経の圧迫
などがあります。
ギオン管症候群になると
手の平から先の小指や薬指側のしびれや感覚の低下、手の細かい作業が出来なくなる(巧緻運動障害)、鉤爪変形(手内筋委縮)などがあります。
ただし尺骨神経は、ギオン管内で分枝しているため、障害を受ける場所により現れる症状が異なります。
運動障害のみ,感覚障害のみ,あるいは運動・感覚障害両方などがあります。
ギオン管症候群を回復させるには
保存療法として、装具なども使った局所の安静、内服薬(ビタミン剤や消炎鎮痛剤)、低周波などの理学療法などを行っていきます。
3ヶ月ほど保存療法で経過をみて回復しない場合には手術療法も検討されます。
その他
近年はパソコンが日常的に使われるようになり、それに伴いマウスを使う機会が増えています。
そうなるとギオン管への外部からの負荷が増え、尺骨神経を圧迫してしまう事にもつながります。
特に外傷や手首を使いすぎたという自覚がなくても、これからは増えてくる可能性がある疾患だと思います。
また、手の小指側がしびれる疾患には、ギオン管症候群の他に肘部管症候群、胸郭出口症候群、頸椎症性神経根症状、頚椎椎間板ヘルニアの神経根症状などもあります。
それらは症状の出ている場所、ギオン管部分を叩くことで小指とくすり指の一部にしびれや痛みが走るチネルサインの確認など、丁寧に観察することにより見極めは可能だと思います。
どのような疾患でも原因を特定しないことには回復は望めませんので、気になる症状がある方は、ぜひ一度当院へご相談ください。
大阪市住吉区長居4-5-18
藤田田鍼灸整骨院
06-6698-4568
参考文献
江上 貴子・中山 祐子・冨田 由美子・鈴木 加奈子・伊藤 順子・一山 智(2014)『Guyon管症候群の神経伝導検査による検討』医学検査 63巻1号,41-47
長岡 正弘(2007)『Guyon管症候群』最新整形外科学大系.中山書店