大阪市住吉区長居西 藤田鍼灸整骨院
前骨間神経麻痺：親指が曲がらない、肘を曲げた状態で腕を内側に捻れないなど
前骨間神経(ぜんこっかんしんけい)とは
前骨間神経とは、肘から先の前腕(ぜんわん)や手指(しゅし)の運動や触った感覚である知覚の一部を司る正中神経(せいちゅうしんけい)の枝であり、前骨間神経は肘関節の少し先で正中神経から枝分かれします。
正中神経の走行①
正中神経の走行②
前骨間神経①
前骨間神経②
前骨間神経は、から少し先のところで親指を曲げる長母指屈筋(ちょうぼしくっきん)と、人差し指や中指を曲げる深指屈筋(しんしくっきん)さらに先で腕を内側に捻る方形回内筋(ほうけいかいないきん)にも枝を出し、その運動を司ります。
前骨間神経が支配する筋肉ー長母指屈筋・深指屈筋・方形回内筋
前骨間神経麻痺になる原因
前骨間神経麻痺のはっきりとした発症原因は解明されていません。
考えられているのは腫瘍による圧迫や、肘関節の少し上の部分で骨が折れる上腕骨顆上骨折(じょうわんこつかじょうこっせつ)に起因する障害。その他、何らかの理由により神経が炎症を起こしたり神経が締め付けられる絞扼性神経障害(こうやくせいしんけいしょうがい)、砂時計のような形で神経がくびれたりすることです。
前骨間神経麻痺になると
前骨間神経は運動神経なので麻痺がおこると親指と人差し指の第一関節を曲げることが出来なくなりますが、麻痺が起きても皮膚感覚の異常はみられません。
前骨間神経麻痺のうち方形回内筋に麻痺が起きると、肘を曲げた状態で腕を内側に捻ることが出来なくなります。
また、前骨間神経麻痺の発症前には肘周辺に痛みを感じることがよくあるようです。
麻痺が起きた際には、親指と人差し指の先を付けて力を込めて丸を作るPerfectOテストを行うと、第一関節に力が入らずに第一関節が伸びてしまうことできれいな丸を作ることが出来ず、涙のしずくに似た形になってしまいます。（tear drop outline）
前骨間神経麻痺は、このテストと第一関節を曲げづらいが皮膚感覚の異常はないことが特徴的な症状となります。
前骨間神経麻痺を回復させるには
まずは保存療法にて経過をみていきます。
2～3ヶ月経過しても回復の兆しがみられないものに対しては手術を考えていきますが、12か月を超えると手術成績が落ちるために、それまでには手術を行うべきだという報告もあります。
手のしびれや運動麻痺、感覚異常を引き起こす原因には様々なものがありますから、先ずは指が動かせないことや手の感覚が鈍いこと、しびれや痛みの原因がどこからきているのかの特定をすることが重要です。
原因が分かればその部分を回復させるためには何が必要で、何がいけないのか決定できます。
それをどれだけ出来るのかで回復のスピードと、どこまで回復させることが出来るのかが決まってきます。
人の組織や細胞、体が回復する治癒の行程はおおよそ決まっていますから、その回復をいかに邪魔しないか、邪魔しなければ最高の回復スピードを得ることが出来ます。
そのために悪くなっている現場の特定と悪くする理由を見つけないといけないのです。
しかし前骨間神経麻痺の原因は分からないことが多いので、その方の日常生活の過ごし方や趣味や仕事、今まで行ってきた運動やケガの履歴などから神経麻痺を起こす理由を考え、それに必要な保存療法をしていくことになると思います。
そして、それらが無効な場合は速やかな外科的手術が必要ですから前骨間神経麻痺になった方は詳しく、よく見てくださる医療機関にぜひご相談ください。
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藤田鍼灸整骨院
参考文献
田中啓之・川端秀彦(1999)『前骨間神経麻痺』最新整形外科大系，第22巻末梢神経疾患 筋疾患 循環障害，第3章末梢神経麻痺（絞扼性神経障害） 85-88 中山書店店
渡邊 毅・今村宏太郎・伊藤信之・長谷芳文・平野英二（1993）『前骨間神経麻痺と後骨間神経麻痺の発生原因の検討』整形外科と災害外科 第42巻3号 1216-1220
