大阪市住吉区長居藤田鍼灸整骨院
骨盤剥離骨折・骨盤裂離骨折(上前腸骨棘剥離骨折・上前腸骨棘裂離骨折、下前腸骨棘剥離骨折・下前腸骨棘裂離骨折、坐骨結節剥離骨折・坐骨結節裂離骨折、成長期のスポーツ障害、突然の股関節前面やお尻の痛み、ジンジンと続く痛みなど
骨盤の剥離骨折(裂離骨折)について
骨盤には太ももや腰、腹部の筋肉が付いているいくつかの突起があり、その中に太ももの筋肉が付く上前腸骨棘、下前腸骨棘、坐骨結節と呼ばれる突起があります。
これらの突起の根元は、成長期には成長軟骨という骨が成長していくための軟骨組織になっており、そのために成長期の突起部は筋力による引っ張りに対しての強度が十分ではありません。
これらの理由から急激な筋肉の収縮により、骨盤の突起部が引き剥がされるような形で骨折を起こすことがあり、このような骨折は剥離骨折または裂離骨折と呼ばれます。
剥離骨折の特徴
剥離骨折は10歳代での発症が多くを占め、発生頻度では上前腸骨棘での剥離骨折が最も多く、次に下前腸骨棘、そして坐骨結節の順に発生しやすくなっています。
また性別では男性に多く、左右差では利き足側に起こることが多いです。
上前腸骨棘剥離骨折
上前腸骨棘には、股関節を前に曲げたり膝関節を伸ばししたりする大腿筋膜張筋と、股関節を曲げたり膝が外側に向くように捻ったり、膝関節を曲げる動作をする縫工筋が付いています。
股関節を伸ばした状態から急激に前に曲げ、さらに膝も曲げる動作を行う疾走中に多く発生し、特にスタートダッシュ時やゴール前での加速時に多いのですがジャンプやキックをする時にも起こります。
上前腸骨棘剥離骨折が発生すると股関節周辺に激痛が出現し転倒、歩行不能となることが多く、骨盤の前面外側にある上前腸骨棘部には腫脹や圧痛が見られ、時には皮下出血もみられます。
好発年齢は14~16歳です。
下前腸骨棘剥離骨折
下前腸骨棘には、股関節を曲げたり膝関節を伸ばしたりする大腿直筋が付いています。
膝関節を曲げ、股関節の後ろに反らせた状態から、股関節と膝を前へと振り出した時に起こります。
動作としてはボールをキックした時や疾走中に多く、そのためにサッカーやラグビー、陸上競技などでよく見られます。
下前腸骨棘剥離骨折発生時には股関節前面に激痛が出現し、転倒または歩行不能になることが多く、下前腸骨棘部に腫脹が見られます。
好発年齢は、13~15歳です。
坐骨結節剥離骨折
坐骨結節には、股関節を後ろに引く動作(伸展)や膝関節を曲げるハムストリングス(大腿二頭筋長頭・半腱様筋・半膜様筋)が付いています。
坐骨結節剥離骨折は、キックやハードル跳躍、スライディング時のように、足を前に振り出す動作により、太ももの裏の筋肉が伸ばされ、それにより筋肉が付いている坐骨結節が引っ張られた場合。または疾走やジャンプ、スタートダッシュ時に発生する筋肉が収縮する力で引っ張られた場合などでよく起こります。
競技としては、陸上競技(短距離走)や野球、ラグビーなどでよくみられます。
好発年齢は、14~16歳です。
骨盤剥離骨折発生から回復まで
もし骨盤剥離骨折が発生しても、そのほとんどは手術の必要がなく保存療法にて回復させていきます。
剥離骨折を起こした場所により安静時の姿位は変わりますが、痛みが軽減してきたら松葉杖を使うことで患部に体重をかけずに歩行を行い、さらに良くなれば徐々に患部へ体重をかける形での歩行を増やしていきます。
また、回復の程度に合わせて、可動域訓練やストレッチも行っていきます。
しかし、スポーツへの完全復帰は完全に骨癒合が終わってからでないと再発してしまうこともあるので慎重に行う必要があります。
骨盤剥離骨折は、スポーツによる発症がほとんどです。
肉離れと間違われてしまうこともありますが、突然股関節前面やお尻に激痛が走ったり、なかなか痛みが取れなかったりする場合などは骨盤剥離骨折である可能性もあります。
股関節前面やお尻の激痛、長引く痛みなどでお悩みの方は、ぜひ一度当院へご相談ください。
大阪市住吉区長居4-5-18
藤田鍼灸整骨院
06-6698-4568
参考文献
熊澤 雅樹・横江 清司・亀山 泰・井戸田 仁・鬼頭 満(2015)『当施設における骨盤裂離骨折の臨床的特徴』スポーツ医・科学 Vol,26 1-4