大阪市住吉区長居藤田鍼灸整骨院
頚椎椎間板ヘルニア:肩こり、首こり、背中のこり、肩の痛み、首の痛み、背中の痛み、上肢の痛み、手のしびれ、背中のしびれ、腕のだるさ、頭痛、めまい、吐き気、ふらつきなど
頚椎について
頚椎(首の骨)には脊柱管があり、その中を頚髄とよばれる神経幹が通っています。
そして脳から送られる体幹や上肢、下肢などへの指令や、脳はへ行く上肢や下肢から受け取った情報のすべては、この頚髄を通っています。
その頚髄からは、上肢や背中を支配する頚神経が出ていて、頚髄(脊髄)から出た頚神経の根元部分を神経根と呼びます。
この神経根は、首の骨の両側にある椎間孔というトンネルを通って頚椎の外へと出て行きます。
また、頚椎の各椎骨の間には椎間板と呼ばれる組織があり、上下の椎骨を連結し支えるクッションの働きをしています。
椎間板とは
椎間板は、上下に重なる椎骨の前方部分である椎体の間に存在し、外側は線維輪という線維性の強固な軟骨、中は髄核という80%が水分であるゲル状のクッションにより作られています。
そして椎間板は、椎骨の後方部分である椎間関節、脊柱前面を支える前縦靭帯、椎体後面を支える後縦靭帯、横突起をつなぐ横突間靭帯、脊椎後方の黄色靭帯や項靭帯とともに脊柱の動ける範囲を決め脊柱を支える役割をします。
この椎間板、椎間関節、靭帯の3つの要素が脊椎の健康や劣化を大きく左右することになります。
また健康な椎間板は、人の体の中で血管が入り込んでいない最も大きな軟骨となるために、椎間板の栄養補給はスポンジが水を吸収するような形で水分とともに栄養を取り込みます。
椎間板の栄養の取りこみ方
椎間板は、運動により荷重がかかると椎間板内の水分が滲みだし、荷重から解放される時にはスポンジが水を吸うように水分を吸収するようになっています。
そして椎間板の上下は1~2mm程度の厚さの終板というガラス軟骨の組織と強力に結合していて、終板には腰椎分節動脈という血管の枝が入り込み栄養を受け取っています。
椎間板はその終板からスポンジが水を吸収するような形で水分とともに多くの栄養を吸収するのです。(繊維輪の外側からも栄養は取り込みます)
椎間板の役割
椎間板は、脊椎前面の前縦靭帯と頚椎後面の後縦靭帯とともに上下に積み重なる脊椎をつなぎ止め、脊椎がズレることを防ぎます。
また椎間板は、椎間関節とともに椎骨にかかる荷重を支え衝撃を吸収するクッションの役割することで椎骨を損傷から守ります。
そして椎間板は、その形を変えることで脊椎に可動性を持たせ、脊椎の動きをスムーズにしています。
椎間板ヘルニアとは
椎間板ヘルニアとは、椎間板の中にある髄核が椎間板の外殻である繊維輪を破って外へ飛び出した状態や、線維輪ごと押し出すような形で膨隆した状態となります。
椎間板ヘルニアが発生するパターンの多くは、線維輪に発生した亀裂から髄核が出てしまうと言われています。
(最近になって新しく詳しい報告もされています。それは椎間板に水平に入る亀裂から始まり、次第に亀裂は大きくなり、30代後半には椎間板の6割以上の長さに達する亀裂が半分以上の人に見られるという報告です。次にそこから垂直に入る亀裂が多くなり、約50%の人は垂直亀裂が軟骨板まで達するとのことです)
椎間板ヘルニアは、たとえヘルニアになったとしても必ず痛みやしびれを出すとは限りません。
他の目的によりMRI検査を行った時、頚椎や腰椎のヘルニアがあることが分かったとしても無症状だということもよくあります。
しかし、ヘルニアが脊髄そのもの、あるいは脊髄から出た神経根を圧迫してしまうと様々な症状を引き起こします。
ヘルニアが脊髄や神経根を圧迫してしまうと、肩や手に激しい痛み、しびれ、場合によっては両手の細かい動きがしにくくなったり、歩行障害が出てきたりすることになるのです。
頚椎椎間板ヘルニアによる症状は大きく分けて二つのタイプがあります。
- 脊髄を圧迫するタイプ
一つは、脊髄が圧迫されるタイプで、しびれなどの症状が、両側もしくは片側の手足に末梢にいくほど強く起こります。
上肢では、しびれや触った感覚の低下に加えて、握力低下や両手を使って行う細かい動作(箸を使う動作・ボタンをかける動作=巧緻運動)が徐々に出来にくくなることもあります。
下肢では、足先から段々としびれてきたり、足が前に出にくくなって歩幅が狭くなったり、階段の昇り降りがしづらくなること(痙性歩行)もあります。
このタイプは、このような症状が数日から数週間で急速に進行することがあります。
また、これらの神経症状は脊髄のどの高さで、どの程度圧迫されるかにより、手のしびれを感じる程度から、立ち上がることも出来ないような高度な麻痺までさまざまな形で出ることになります。
好発部位は、C5,6椎間が最も多く、次いでC4,5、C3,4、C6,7椎間の順です。
- 神経根を圧迫するタイプ
もう一つのタイプは、神経根が圧迫されたときに起こるもので、頚椎根が圧迫されると首の痛みや、どちらか片方の肩や手に痛みやしびれ、知覚低下が生じます。
このタイプは首の痛みで発症したあと、上肢の痛みや手指のしびれが遅れて生じること一般的です。
初めの2~3週間は激烈な痛みを感じることが多く、その後、強い痛みは徐々に落ち着きますが、鈍い痛みやしびれが数週間から数ヶ月間続くこともあります。
また、ヘルニアによる神経の圧迫が強い場合は、障害されている神経が支配する筋肉に運動麻痺が生じることもあります。
頚椎椎間板ヘルニアの好発部位は、C6,C7間の椎間板に最も多く、次いでC5,6、C7,T1、C4,5椎間の順です。
頚椎椎間板ヘルニアの特徴
頚椎椎間板ヘルニアの特徴としては、30代後半からみられることが多く40~50歳代が発症のピークになります。
原因
発症原因は、頚椎症性変化(頚椎の老化)や、椎間板の老化などが基盤にあり、そこへ日常生活での些細な動きや、外傷(むち打ちなど)、スポーツでの首への負担などが加わることです。
頚椎や椎間板の老化や負担により椎間板の線維輪や終板に大小さまざまな亀裂が入ります。
その亀裂は椎間板を横から見た時に水平に入るものや、縦に入り、ガラス軟骨の終板まで入るものまでみられます。
そうして線維輪や終板が弱ることで髄核が線維輪ごと膨隆したり線維輪を突き破ったりして髄核が外へ飛び出すのです。
頚椎椎間板ヘルニアを疑うとき
頚椎椎間板ヘルニアを疑う場合は、
左右の手指や腕、下肢などの皮膚を軽く触れた感覚が鈍くないか?
手指や足趾、腕などの力は左右同じように入るか?
手を前に出しグーとパーを繰り返す。これを10秒間に20回以上できるか?
などを確認したり、首の動きにて首や腕などに痛みやしびれが誘発されないかを確認したりします。
その他、上肢や下肢の腱反射やホフマンテストや足クローヌステストなどの反射をみたり、ジャクソンテストやスパーリングテストなどの誘発テストを行ったりすることで判断します。
そして、脊髄や神経根機能の異常が疑われる場合は、MRI検査にて神経根や脊髄がヘルニアに圧迫されていることを確認します。
頚椎椎間板ヘルニアになったとき
頚椎椎間板ヘルニアになったとき、上肢への放散痛が主たるものであれば、基本的に保存的療法を選択します。
痛みが強い時には首や肩の負担になる動作や姿勢、作業を控えて、時には患部の安静を保つために頚椎カラー(首のコルセット)を使用することもあります。
また、麻痺や筋肉の萎縮を伴った場合や、脊髄が圧迫され両側の手や足の症状が見られる場合は症状の進行が早いという傾向が見られます。
その程度が高度のものや排尿や排便に異常がある場合は、出来るだけ早い時期に手術的療法を検討する必要があります。
しかし、それ以外の急を要さないタイプのヘルニアであれば焦る必要はありません。
首や肩周りの筋肉の柔軟性を保つ(やり過ぎるとかえって痛めます)
頚椎に負担をかけないように筋力を鍛える(当院では僧帽筋から鍛えていくことをお勧めしています)
日常生活での負担のかけ方などを見直す
自分に合った枕を選ぶ
お酒やたばこを控えるなど・・・
ご自身で出来ることは、このあたりのことを正確に行ってみることがお勧めです。
当院では、首や肩の筋肉の緊張を緩和するために、身体を温熱療法で温めて血流を良くしたり、施術によって必要な筋肉を緩めたりなどを頚椎にかかる負担を最小限にしながら行います。
しかし、首はとても繊細な部位です。間違った方法で行うと悪化する場合もありますので注意が必要です。
また、頚椎椎間板ヘルニアを予防するには、椎間板に過度の負担をかけないため、常に正しい姿勢を保つことなど日常生活を正しく行うことが大事です。
何が正しいかをよく知り、基本を守ることが回復力を最大に引き出すポイントです。皆さん諦めないでおちついて対処していきましょう!
首や肩、腕や足の異常や、椎間板ヘルニアの手術後のリハビリなどに関するご相談は、ぜひ当院にお任せください!
大阪市住吉区長居4-5-18
藤田鍼灸整骨院
06-6698-4568
参考文献
『頚椎椎間板ヘルニア』最新整形外科学大系 頚椎・胸椎 第1版,264-272,株式会社 中山書店