大阪市住吉区長居西 藤田鍼灸整骨院
腰椎椎間板ヘルニア:腰痛、殿部の痛み、足のしびれ、足の痛みなど
ヘルニアという言葉の意味
ヘルニアとは脱出するという意味合いの言葉であり、太もものつけ根あたりに起こる鼠径(そけい)ヘルニアのように内臓の一部が飛び出ているような場合に使うのですが、椎間板が飛び出た場合でも使われます。
椎間板とは
腰は椎骨という骨がダルマ落としのように上下に連なっているのですが、椎骨の円柱状の前方部分は椎体と呼ばれ、椎間板はその間にある軟骨のクッションです。
椎間板は、その外側を線維輪(せんいりん)という強固な線維性の軟骨組織で囲まれており、形状は腹側の方が背側のほうより厚みがあり、中には髄核(ずいかく)という80%が水分であるゲル状のクッションが存在します。
その椎間板は、椎骨の後方部分である椎間関節(ついかんかんせつ)、脊柱前面を支える前縦靭帯(ぜんじゅうじんたい)、椎体後面を支える後縦靭帯(こうじゅうじんたい)とともに上下に積み重なる椎骨をつなぎ止め、脊椎がズレることを防いでいます。
椎間板は椎間関節とともに、椎骨にかかる荷重を支え、衝撃を吸収するクッションの役割することで椎骨を損傷から守ります。
椎間板は、その形を変えることで脊椎に可動性を持たせ、脊椎の動きをスムーズにしています。
腰椎椎間板ヘルニアとは
腰椎椎間板ヘルニアとは、椎間板の中にある髄核が線維輪を破ったり、線維輪ごと押し出したりして飛び出してしまった状態です。
そして、その飛び出たヘルニアの大きさや方向、飛び出した形状はヘルニアの治りやすさや腰痛の強さ、殿部や下肢に出る痛みやしびれの強さを左右します。
腰椎椎間板ヘルニアの分類
腰椎椎間板ヘルニアは、髄核の突出の程度や場所によりそれぞれ分類されます。
突出の程度による分類
- P型(protrusion型)膨隆
髄核の突出はあるが、線維輪の最外層を越えていないもの
- SE型(subligamentous disc extrusion型)靭帯下脱出
脱出した髄核が線維輪の最外層を越えるが、後縦靭帯で覆われるもの
- TE型(transligamentous disc extrusion型)経靭帯性脱出
脱出した髄核が線維輪の最外層と後縦靱帯を穿破しているもの
- S型(disc sequestration型)遊離
脱出した髄核が、元の椎間板から離れ硬膜外腔に遊離移動したもの
突出の場所による分類
- 脊柱管内型 (intracanal type)
脊柱管内にヘルニアが突出して馬尾や神経根を圧迫するもので、椎間板後外側の突出が最も多くみられる
- 椎間孔内型 (intraforaminal type)
突出したヘルニアが椎間孔内にあるもの
- 椎間孔外型 (extraforaminal type)
突出したヘルニアが椎間孔外にあるもの
腰椎椎間板ヘルニアになると
腰椎椎間板ヘルニアの症状としては、髄核や髄核に押されて膨らんだ線維輪が、脊髄あるいは脊髄から出た神経があるに方向に飛び出たり膨らんだりすることがあります。
それが脊髄や神経を圧迫してしまうことで、激しい腰痛や下肢の痛みやしびれ(坐骨神経痛)知覚障害や筋力低下を引き起こすことがヘルニアの症状です。
しかし、髄核や繊維輪が脊髄や神経がない方向に飛び出している場合は症状がないことも多く、症状がない場合は他の検査目的でMRIを撮った時にヘルニアがあっても問題とされません。
坐骨神経痛についてはこちら>>坐骨神経痛―おしりや太もも、ふくらはぎ、足趾の痛みやしびれ
椎間板ヘルニアによる下肢の痛みやしびれの部位は、ヘルニアにより圧迫されるのが脊髄の場合(中心性ヘルニア)は両下肢に生じやすく、圧迫されるのが神経であればどちらか片方の下肢に生じることになります。
また、ヘルニアによる圧迫が強い場合は、障害されている神経が支配している筋肉に運動麻痺が生じることもあります。
腰椎椎間板ヘルニアの特徴
腰椎椎間板ヘルニアの発生について、男女比は2~3:1で男性に多く、好発年齢は20~40歳代、好発部位はL4/5,L5/S1間が多いとされています。
腰椎椎間板ヘルニアになる原因
発症原因は腰に負担のかかることが繰り返されると、腰椎の椎間板にも負担が積み重なり、先ず線維輪に水平方向への亀裂が入ります。
次に垂直方向への亀裂が入っていくことで終板という部分が痛みます。
そして痛み、変性した線維輪の弱い部位を突き破り髄核が飛び出してヘルニアとなるのですが、線維輪に強度があれば線維輪ごと押し出すタイプのヘルニアとなります。。頚椎椎間板ヘルニアー痛み・しびれ・頭痛・吐き気・めまい
また、喫煙・遺伝なども腰椎椎間板ヘルニアの発症に影響があると言われています。
(椎間板の変性が始まる前には、腰の骨と椎間板の間にある終板という組織が損傷することで、終末動脈が途絶えるために椎間板が変性したりすべり症が発生したりすると言われています)
腰椎椎間板ヘルニアの治療
腰椎椎間板ヘルニアの治療については、進行性でも運動麻痺がない場合や膀胱直腸障害がない場合、先ずは保存療法を行います。
患部の安静を保ち、患部にかかる負荷を減らすために、コルセットを着けます。
そして回復してきたら、再発を防止するためにも筋力の強化を行います。
以前はヘルニアがあると分かれば、今よりも比較的早い段階で手術になることが多かったのですが、最近は数か月間、保存療法にて経過観察を行い判断することが多くなっています。
※その判断は、その方の生活環境や痛みやシビレの強さ、これから先の予定などをしっかりと考慮して決定されることが望ましいと思います。
当院では
初期の段階で痛みの強い時は腰椎に負担の少ない鍼灸施術や、それに適した手技療法、ハイボルテージ療法などを使うことで痛みをなくしていきます。
そして痛みの軽減に合わせて、筋緊張を緩和する手技、腰に負担の少ない形での運動療法などを行います。
腰椎椎間板ヘルニアのうち、線維輪を破って飛び出すタイプは、飛び出した髄核を白血球の一つであるマクロファージが食べてくれるため、飛び出た部分は無くなる確率が高くなります。
逆に線維輪ごと押し出してしまうタイプは、線維輪に阻まれマクロファージが機能しないため、ヘルニアが無くなる確率は低くなります。
これらの特徴などよりヘルニアは保存療法で回復が望めるケースか、手術を考慮するべきかなどの見極めが大切です。
ヘルニアや急性腰痛、ぎっくり腰などは、はじめ、とても痛みが強くても1~2週間で痛みが引くことも結構あります。激痛は1~2日でひくこともあります。
よってその間に行った投薬やリハビリ、矯正などを行った場合、それにより治ったと錯覚することがありますが、回復は痛みの有無では測れないときもあります。
本当に大きな損傷があった場合、1~2日で治ることはありませんから痛みの程度、年齢、日ごろの体の使い方、再発のペース、これからの生活環境など、たくさんの情報を考慮しながらの施術や日常生活の過ごし方などを決定する必要があります。
腰椎椎間板ヘルニアの手術後のリハビリや腰、おしりの痛み、足の痛みやしびれのご相談は、ぜひ当院まで!
大阪市住吉区長居西3-1-33
藤田鍼灸整骨院
06-6698-4568
参考文献
大矢 卓・白土 修(1997)『腰椎椎間板ヘルニアの病態と治療』リハビリテーション医学 34 巻 9号,624-630
持田 譲治『腰椎椎間板ヘルニア』最新整形外科大系、胸腰椎・腰椎・仙椎,241-247