有鉤骨骨折・有鈎骨骨折-転倒して手を着いた、スポーツなどによる手の付け根の痛み
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有鉤骨骨折:手首の小指側の痛み、握ったものが手首の小指側に当たると痛む、スポーツによる怪我、手のひらの痛み、手の付け根の痛みなど
有鉤骨とは
有鉤骨は手のつけ根の部分を構成する手根骨の一つで、手のひらの中央からやや下の小指寄りにあります。
有鉤骨は豆状骨とともにギオン管を構成していて、その中を尺骨神経が通っています。
また、有鉤骨には手のひら側に有鉤骨鈎(ゆうこうこつこう)と呼ばれる約1cmの突起が存在します。
この有鉤骨鈎は、有鉤骨体部から角のように突出した部分になるのですが、手のひらに強い衝撃を受けたり、繰り返しストレスがかかったりすると骨折することがあります。
有鉤骨鈎が骨折してしまう原因としては
有鉤骨骨折は体部骨折と鈎部骨折があり、体部骨折は第4第5中手骨からの外力が有鉤骨に加わることで発生し、鈎骨折は手のひら側へと突出した鈎に外力が加わることで発生します。
有鉤骨に外力が加わるケースとしては、転倒して地面に手のひらを強く着いた時や、バットを強く握った状態でスウィングをした時にグリップエンドが鈎の部分に当たる時などです。
特にファールチップでバットの先端にボールが当たったときは、てこの力でグリップが鈎の部分を折るような形となり、通常の打撃で加わる力以上の負荷がかかってしまうため受傷しやすくなります。
また、テニスのようなボールを打った時の力が繰り返される場合や、グリップエンドから受ける圧力がかかり続けると疲労骨折を起こすこともあります。
Starkによる分類
有鉤骨骨折の分類にはStarkによる分類法があります。
Starkによると有鉤骨骨折の75%が基部と基部(Proximal)1/3の骨折と報告されています。
有鉤骨骨折になると
受傷後は、患部が腫れて皮下出血もみられます。
しかし手首を動かしたときに手首の小指側に痛みが出ても、腫れや皮下出血が目立たない場合もあるので注意が必要です。
また、有鉤骨骨折の合併症として尺骨神経の麻痺が起きることもあります。
これは折れた有鉤骨鈎が、傍らを通る尺骨神経を圧迫してしまうことがあるからです。
尺骨神経麻痺を合併すると手のひらの小指側がしびれたり、小指がしっかり握れなくて握力が下がったりなどの症状がでますが、これは骨折と一緒に回復していくことが多いです。
有鉤骨骨折を回復させるには
骨折部の転位がなかったり少なかったりする場合には、ギプス固定にて保存的に回復させていきます。
しかし、転位が大きい場合や早期復帰を目指す場合には、骨折した鈎部の骨片を取り出す手術療法が行なわれます。
手のひらや付け根の痛みは、手根部尺側の靭帯損傷や豆状骨の骨折、屈筋腱の炎症といった疾患の可能性もありますが、痛めた時の状況を詳しく聞いたり圧痛部位を丁寧に調べたりすることで、有鉤骨骨折を疑う場合は画像による検査を行います。
しかしレントゲンのみに頼り過ぎると、レントゲンでは写す角度により他の骨と有鉤骨の骨折部が重なってしまうために骨折線が見えづらく見逃されてしまうこともあります。
万が一見逃してしまうと骨折部が癒合せずに偽関節になってしまうことも多く、偽関節となった場合は、痛みが残ってしまったり尺骨神経の障害や屈筋腱の障害などが発生したりするので、早期に発見し的確に対処をすることはとても重要です。
転倒して手を着いたりスポーツ中に手のひらや付け根に痛みが出たりする場合は、ぜひ当院へご相談ください!
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06-6698-4568
参考文献
髙松 俊介・宮川 誠一郎・佐藤 久弥・鈴木 航・西澤 剛・中村 雅美ほか「有鉤骨鉤基部撮影における撮影体位の検討」臨床技術,vol.70 No.6.2014
沖本 信和・安田 金蔵・秋山 明ほか「有鉤骨骨折の治療経験」整形外科と災害外科Vol.42,p149~152.1993