大阪市住吉区長居藤田鍼灸整骨院
三角繊維軟骨複合体(TFCC)損傷:手首の痛み、手首の小指側の痛み、フライパンを持つと手首が痛い、ドアノブを回すと手首が痛い手首が反らせないなど
三角線維軟骨複合体損傷(TFCC損傷)とは
三角繊維軟骨複合体(以下TFCC)は、手首の小指側に位置し、尺側三角靭帯・掌側橈尺靭帯・背側橈尺靭帯・尺骨月状骨靭帯・尺骨三角靭帯・尺側側副靭帯・関節円板で構成されています。
そのTFCCを外傷や変性により痛めてしまうことをTFCC損傷と言います。
前腕の小指側の骨である尺骨が親指側の橈骨よりも長い状態をプラスバリアンス(plus variance)といいます。
そのプラスバリアンスが原因で障害が発生する尺骨突き上げ症候群ではTFCC損傷を併発することが多いです。
また、テニスやバトミントンなどのラケットスポーツをする選手にも多くみられます。
TFCC損傷の特徴
TFCC損傷の症状として大きな特徴となるのは、
- 手首の小指側に痛みを感じる手関節尺側部痛
- 手や腕を回せなくなる前腕回内外可動域制限
- 手首にぐらつきが出る遠位橈尺関節不安定性を3徴としています。
その他の症状としては、尺側部痛には安静時痛、運動痛があり、特にタオル絞り、ドアノブなどの手関節のひねり運動での疼痛を訴えます。
損傷部が遠位橈尺関節に嵌入すると、重度の回内外可動域制限を生じることがあるのですが、それ以外では10~20°程度の可動域制限に留まることが多いです。
また、遠位橈尺関節不安定性は自覚的に音として感知することが多く、重度になっていくと人に物を渡す際や動作を開始する際などに手が抜けるような感覚を感じることがあります。
TFCC損傷の検査
徒手検査では、手関節を他動的に尺側させる尺側テスト、それに軸圧を加える尺骨軸圧テスト、さらに回外操作を加える尺屈回外テストなどのTFCCストレステストがあります。
遠位橈尺関節不安定性は回内外中間位での掌背方向への遠位橈尺関節の不安定性を診るBallottement test(バロットメントテスト)で判断します。
その他圧痛や腫脹、受傷原因、手の使用頻度なども参考にします。
また、画像診断では、MRIと関節造影が有用で、詳細な診断には手関節鏡が有効です。
TFCCとの鑑別が必要な疾患としては、尺側手根伸筋腱腱鞘炎、尺骨頭骨折、月状骨や三角骨の骨折、遠位橈尺関節亜脱臼、月状三角骨靭帯損傷などがあります。
TFCC損傷の治療
治療法としては、保存療法と手術療法とがあります。
保存療法では、安静、消炎鎮痛剤投与、サポーター固定、テーピング固定、ギプス固定などがあります。
固定では、TFCCの動きを制限して炎症を抑えることが目的となります。
保存療法を3ヶ月以上行っても症状が改善しない場合は、手術療法も適用されることもあります。
TFCC損傷は、捻挫の痛みと勘違いされることも多いですが、なかなか痛みがとれない、スポーツの時に握る動作ができないぐらい痛い場合疑うべき疾患です。
手首に関しての気になる症状をお持ちの方は、ぜひ当院にご相談ください!
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藤田鍼灸整骨院
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中村 俊康『三角繊維軟骨複合体(TFCC)損傷』最新整形外科学大系15A巻, 第6章,208-217,中山書店