骨盤裂離(剥離)骨折ー上前腸骨棘裂離(剥離)骨折、下前腸骨棘裂離(剥離)骨折、坐骨結節裂離(剥離)骨折、骨盤や股関節前面、お尻の痛み

大阪市住吉区長居西 藤田鍼灸整骨院>>https://shinkyuuseikotsu.com

骨盤剥離骨折・骨盤裂離骨折(上前腸骨棘剥離骨折・上前腸骨棘裂離骨折、下前腸骨棘剥離骨折・下前腸骨棘裂離骨折、坐骨結節剥離骨折・坐骨結節裂離骨折、成長期のスポーツ障害、骨盤や股関節前面、お尻の痛み

 

骨盤の剥離骨折(はくりこっせつ)裂離骨折(れつりこっせつ)について

 

骨盤には太ももや腰、おなかの筋肉が付いている骨の出っ張った部分がいくつかあり、その中には太ももの筋肉が付く上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく)、下前腸骨棘(かぜんちょうこつきょく)、坐骨結節(ざこつけっせつ)と呼ばれる突起があります。

骨盤部の名称、上前腸骨棘、下前腸骨棘、坐骨結節|大阪市住吉区長居藤田鍼灸整骨院

骨盤部の名称(上前腸骨棘・下前腸骨棘・坐骨結節)

 

大人の骨になるまでの成長期、その骨の突起の根もと部分は成長軟骨という骨が成長していくための軟骨組織になっています。

骨が成長していくために必要な軟骨部分がある突起は、運動や事故などにより急激に筋肉が収縮した時、その収縮による引っ張られる力に対しての強度が十分ではありません。

そのために骨盤部分にある骨の突起は、急激な筋肉の収縮による力で引き剥がされるような形で骨折を起こすことがあり、このような骨折は剥離骨折または裂離骨折と呼ばれます。

 

骨盤部剥離骨折の特徴

 

骨盤の外傷はスポーツの中で発生する外傷としては1~3%と少なく、発生する年齢は10歳代がほとんどです。

そして、骨盤に発生する外傷の中でも骨盤部分の骨折は、ほとんどの場合剥離骨折となります。

その骨盤部の剥離骨折には上前腸骨棘剥離骨折、下前腸骨棘剥離骨折、坐骨結節剥離骨折などがあり、骨盤部に発生する剥離骨折のなかでは上前腸骨棘での剥離骨折が最も多く、次に下前腸骨棘、そして坐骨結節の順に多くなっています。

また骨盤部の剥離骨折は10歳代での発症が多くを占め、性別では男性に多く、左右差では利き足側によく起こります。

 

上前腸骨棘剥離骨折

 

上前腸骨棘には、股関節を前に曲げたり膝関節を伸ばししたりする大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)と、股関節を曲げたり膝が外側に向くように捻ったり曲げたりする働きをする縫工筋(ほうこうきん)が付いています。

上前腸骨棘裂離骨折・上前腸骨棘剥離骨折―上前腸骨棘と大腿筋膜張筋|大阪市住吉区長居藤田鍼灸整骨院

上前腸骨棘裂離骨折―上前腸骨棘と大腿筋膜張筋

 

上前腸骨棘裂離骨折・上前腸骨棘剥離骨折―上前腸骨棘と縫工筋

上前腸骨棘裂離骨折―上前腸骨棘と縫工筋

 

上前腸骨棘の剥離骨折は、股関節を後ろに伸ばした状態から急激に前に曲げ、さらに膝も曲げる動作を行う疾走中に多く発生します。競技中の動きの中ではスタートダッシュ時やゴール前での加速時に多いのですが、ジャンプやキックをする時にも起こります。

上前腸骨棘剥離骨折が発生すると股関節周辺に激痛が出現し、転倒したり歩行不能となったりすることが多く、よく観察すると骨盤の前面外側にある上前腸骨棘部は、腫れたり押すと痛みが出る圧痛があったり時には皮下出血もみられます。

好発年齢は14~16歳です。

 

下前腸骨棘剥離骨折

 

下前腸骨棘には、股関節を曲げたり膝関節を伸ばしたりする大腿直筋(だいたいちょっきん)が付いています。

下前腸骨棘裂離骨折・下前腸骨棘剥離骨折―下前腸骨棘と大腿直筋

下前腸骨棘裂離骨折―下前腸骨棘と大腿直筋

 

下前腸骨棘剥離骨折は膝関節を曲げ、股関節を後ろに引き後ろに反らせた状態から股関節と膝を前へと振り出した時によく起こります。

動作としてはボールをキックした時や疾走中に多く、そのためにサッカーやラグビー、陸上競技などでよく見られます。

下前腸骨棘剥離骨折発生時には股関節前面に激痛が出現し、転倒したり歩行不能になったりすることが多く、下前腸骨棘部には腫れが見られます。

好発年齢は、13~15歳です。

 

坐骨結節剥離骨折

 

坐骨結節には股関節を後ろに引いたり(伸展)膝関節を曲げたりするハムストリングス(大腿二頭筋長頭・半腱様筋・半膜様筋)が付いています。

坐骨結節裂離骨折―坐骨結節と半腱様筋、大腿二頭筋、半膜様筋|大阪市住吉区長居藤田鍼灸整骨院

坐骨結節裂離骨折―坐骨結節と半腱様筋、大腿二頭筋、半膜様筋

 

坐骨結節裂離骨折・坐骨結節剥離骨折―坐骨結節と半膜様筋

坐骨結節裂離骨折―坐骨結節と半膜様筋

坐骨結節剥離骨折はキックやハードル跳躍、スライディングなど、足を前に振り出す動作により太ももの裏の筋肉が引き伸ばされることで、その筋肉が付いている坐骨結節が引っ張られた場合や、逆に疾走やジャンプ、スタートダッシュ時の筋肉が収縮する力で引っ張られた場合などでよく起こります。

競技としては、陸上競技(短距離走)や野球、ラグビーなどでよくみられ、好発年齢は、14~16歳となっています。

 

骨盤剥離骨折発生から回復まで

 

骨盤剥離骨折が発生しても、そのほとんどは手術の必要がなく手術をしない保存療法で回復させることになります。

剥離骨折を起こした場所により適した足の置き方、肢位にてベッド上で安静を保ち、痛みが軽減してきた頃に松葉杖などを使って患部に体重をかけずに歩行を行います。

さらに良くなれば患部へ体重をかける形での歩行を徐々に増やしていきます。

また回復の程度に合わせて、股関節などの動く範囲を広げる可動域訓練やストレッチも行っていきます。

ただし、スポーツへの完全復帰は完全に骨癒合が終わってからでないと再発してしまうこともあるので、スポーツに復帰していく過程や完全復帰の時期には慎重さが必要です。

 

当院では

 

剥離骨折を疑う場合、レントゲンやCTによる画像はもちろんですが、先ずは、どのように足を動かせば痛むのか?痛めた足に体重をかけることで痛みは増すのか?どの部位を押すことで痛みが出るのかなどの検査を念入りに行います。

特に足の動きによる痛みの出かた(運動痛)と患部を正確に押すことにより感じる痛み(圧痛)を詳しく見ていきます。

剥離骨折を疑う場合にその運動痛と圧痛を重要視するのは、剥離骨折は筋肉や靭帯の牽引力により発生する骨折だからです。

剥離骨折の場合、筋肉が付いている部分の骨を引きはがすこととなった筋肉に力を入れたり、その筋肉をストレッチにより伸ばしたりすることで、半強制的に牽引力を発生させると痛みが再現されることが多く患部を特定しやすいからです。

単純な検査なのですが、指先で行う圧痛は患部を正確に押すことさえ出来れば痛めた個所はハッキリとしますし、腫れや、時には骨の隆起の感触を得ることが出来ます。

さらに圧痛は、痛みの程度を毎回10段階評価で確認しておけば回復の程度を計ることもできます。

(当院に来られた下前腸骨棘剥離骨折の患者さまの場合も、回復の程度を圧痛や日常生活での痛みの出かたで判断したものと、その後医療機関のCT検査にて得たドクターの判断はほぼ一致していましたから、圧痛での判断は骨盤部の剥離骨折においては有用だと思います)

 

最後に

 

骨盤部の剥離骨折は、スポーツによる発症がほとんどです。

しっかりと観察、剥離骨折の可能性も念頭に入れながら判断しなければ肉離れと間違われてしまうこともありますが、突然股関節前面やお尻に激痛が走ったり、なかなか痛みが取れなかったりする場合などは骨盤剥離骨折を疑う必要があると思います。

股関節前面やお尻の激痛、長引く痛みなどでお悩みの方は、ぜひ一度当院へご相談ください。

 

>>https://shinkyuuseikotsu.com

大阪市住吉区長居西3-1-33

藤田鍼灸整骨院

06-6698-4568

 

参考文献

 

熊澤 雅樹・横江 清司・亀山 泰・井戸田 仁・鬼頭 満(2015)『当施設における骨盤裂離骨折の臨床的特徴』スポーツ医・科学 Vol,26 1-4

 

アクセス

藤田鍼灸整骨院

〒558-0002 大阪市住吉区長居西3丁目1-33
【アクセス】御堂筋線 長居駅より約5分
                  JR阪和線 長居駅より徒歩5分(1.8km)

ご予約・お問い合わせはこちらからどうぞ

診療時間