野球肘、離断性骨軟骨炎、リトルリーガーズエルボーの治療やご相談は大阪市住吉区長居の当院まで!
野球肘とは、投球時に肘が痛む、肘の内側を抑えると痛い、肘を伸ばしにくいなど『野球(投球)が原因で起こってしまう肘の痛み』の総称です。
投球動作時の肘には、過度に伸ばす、曲げる、ねじる、横方向にくの字になるような力など様々な力が加わります。
それらによって、骨、軟骨、靭帯、筋肉や筋肉が骨に付く部分に負担が掛かりそれが蓄積されることで野球肘は起こります。
野球肘は大きく分けると次の3つのタイプがあります。
1.肘の内側に伸ばす力とそれに抵抗する力によるもの。
2.肘の外側へ圧力が加わることで障害が起こるもの。
3.肘を伸ばすことで、肘関節後ろ側に障害が起こるもの。
この3つの障害タイプの中では、内側に起こる障害の内側上顆の骨端および骨端線障害や尺側側副靭帯の発生頻度は特に高くなっています。これらの障害はリトルリーガーズエルボー(little leaguer’s elbow)といわれ骨端線が閉鎖していない成長期の子どもに多いのが特徴です。
また、頻度は少ないのですが、外側に発生する障害である上腕骨小頭の骨軟骨障害は、最も問題となり離断性骨軟骨炎と呼ばれています。離断性骨軟骨炎は肘の内側に起こるタイプの障害よりは発生する年齢はやや高くなります。
投球動作と負担の掛かり方について
野球などの投球動作は、コッキング期、加速期、フォロースルー期の三期に分けることができ、このうち障害に最も影響を及ぼしやすいのがフォローする―期です。
ボールに加速を付ける加速期は、静から動へと移行する前期と前腕屈筋群と上腕三頭筋を最大に収縮させてボールを加速させる後期に分けて考えます。
前期は胸を張り肩関節は大きく後ろにそらし、肘関節は約90度にしてやはり目いっぱい後ろに反らせます。よってこの時期には肘の外側、内側、後方へ最も負担がかかり、外側の上腕骨小頭と橈骨頭には圧迫力、剪断力、回旋力、内側上顆と鈎状突起には逆に牽引力が加わることになります。
後期では、前腕の屈筋群と上腕三頭筋を最大に収縮させてボールを加速します。この時に筋肉が骨に付いている箇所や内側上顆と肘頭は引っ張る力を受けます。
フォロースルー期では、肘は内側に反るような力を受けながら腕を伸ばすことになります。この時に肘頭が肘頭窩にぶつかり腕尺関節内側に圧迫の負荷がかかります。
症状としては、投球時の肘の痛み、肘の内側を押さえると痛む、肘を曲げ伸ばしするのが少し辛いと言った感じで、主には内側に問題が発生します。腫れや発赤はあまり見られません。
野球肘の判断には、
野球などの投球動作を含むスポーツの経歴
投球動作時に起こる痛み
肘の内側を押さえると感じる痛み(圧痛)
肘を外側へ強制的に開く力を加えて、肘の内側を伸ばすようにすると(外反ストレス)そこに痛みがでるかなどを確認し、万が一に備えてレントゲンやエコーを用いて判断することが大切です。
治療としては、保存療法が基本線です。
先ずは原因となる運動の制限や中止、腕全体を安静に保つことが必要です。痛みによっては装具や固定具を使う場合もあります。
野球肘は痛めた箇所によっては問題の大きさにかなりの幅がありますから、しっかりと見極め、それに沿った運動制限が必要です。
運動選手にとって運動が出来ないことは精神的にとても辛く不安を伴います。大会などの日程上どうしても無理をしないといけないこともあると思います。
しかし、全力でない、ある程度の運動をしてしまったことで、かえって長引いたり、手術になったりしてしまうこともあります。ですから勇気を出してしっかりと休みを取り、復帰への計画をたて、出来るトレーニングを今まで以上に行いきっちりと回復させることで1日でも早く全力を出せるようにして頂きたいと思います。
先ほど述べた通り、野球肘は手術になることもあります。保存療法で回復しない時、再発を繰り返す時、内側側副靭帯の障害または断裂が疑われる場合は手術を考えなくてはいけません。
痛みが無くなり、ケガの原因となったスポーツに復帰をする時には、徐々に投げる距離を伸ばしていくなど焦らずに慎重に計画的に行い、1番の遠回りとなる悪化や再発をさせないことに主体を置いておこなって頂きたいと思います。
最後に、肘には以下のような様々なスポーツ障害が発生しますから詳しい観察、判別ができる医療機関や治療院でみて頂いて下さい。
肘の外側 | 離断性骨軟骨炎 |
テニス肘(上腕骨外側上顆炎) | |
後外側回旋不安定症 | |
外側側副靭帯損傷 | |
肘の内側 | 尺骨神経障害・尺骨神経脱臼 |
内側側副靭帯損傷 | |
上腕骨内側上顆炎 | |
回内筋・屈筋群の筋損傷や炎症 | |
内側上顆骨端線離開 | |
肘の後ろ側 | 肘頭骨端線離開 |
肘頭骨端炎 | |
その他 | 変形性肘関節症 |
大阪市住吉区長居4-5-18
藤田鍼灸整骨院
06-6698-4568
岡 義範:(1999)『野球肘』最新整形外科体系14巻13章スポーツ障害,p326-330.中山書店
小山智士・藤岡宏幸・川口浩太郎・西川哲夫:(2012)『成長期における野球肘の病型と治癒期間に関する調査』日本理学療法学術大会, Ca0938-Ca0938