脊椎損傷、腰痛症、筋筋膜性腰痛、腰椎背筋群コンパートメント症候群、腰椎椎間板症、腰椎椎間板ヘルニア、変形性腰椎症、腰部脊柱管狭窄症、腰椎後縦靭帯骨化症、腰椎分離症・腰椎分離すべり症、腰椎変性すべり症、腰椎椎間関節嚢腫、腰椎椎間関節症候群、腰椎faild back syndrome、原発性脊椎腫瘍、転移性脊椎腫瘍、膿瘍類似疾患、リウマチ性脊椎炎、破壊性脊椎関節症(透析性)、感染性脊椎炎、医原性の炎症性・破壊性疾患、血清反応陰性脊椎炎、腰椎変性後湾症、腰椎変性側弯症・後側弯症、非可橈性腰椎後湾症、骨粗しょう症性椎体骨折、骨軟化症、ムコ多糖症、骨Peget病、形成不全性腰椎すべり症、二分脊椎、職業性腰痛、心因性腰痛、脆弱性骨折、変形性脊椎症
脊椎損傷
脊椎圧迫骨折や脱臼、回旋脱臼骨折、破裂骨折、剪断骨折などにより脊椎に屈曲、伸展、垂直圧縮、回旋、剪断の力が加わることで脊椎を損傷した状態。
治療は脊柱を安定させ正常な機能を回復させるために保存料法や手術療法を行う。
腰痛症
レントゲンやMRI検査を行ってもこれといった異常が見当たらない腰痛を非特異的腰痛といい一般的にはこのタイプの腰痛を腰痛症といい20~55歳に多く全腰痛の約70%を占めます。
また、急激に発症した強い腰痛でレントゲンやMRI検査を行ってもこれといった異常が見当たらないものはぎっくり腰と言われる。20~50歳男性に多い。
筋筋膜性腰痛
筋肉や筋膜、筋肉を貫通している神経に何らかの変化があって起きる腰痛。20~40歳に多く、痛みが強い時には坐骨神経痛のような放散痛が出ることもあります。
前かがみが制限されるが後ろに反るのは制限されにくいことが特徴。
腰椎背筋群コンパートメント症候群
腰背筋群の内圧が上昇し循環障害を起こすため筋肉の血流量が極度に減少する。
急性と慢性がある。慢性は安静にしていると痛みがなく、運動や歩行により痛みが出る。腰を反らすと痛みがなくなる。コンパートメント症候群は手術になることも多い。
腰椎椎間板症
腰椎椎間板症の経過としては
- 腰椎のクッションである椎間板の外郭である線維輪が細かく損傷し椎間関節の軟骨の表面が痛む。
- 椎間板が薄くなり腰椎を支える靭帯が緩む。
- 椎間関節の軟骨も変性し関節を包む関節包が緩む。
- 不安定になりだした腰椎を安定させるために骨棘が出始める。
- 骨棘により腰椎が安定するが腰の骨と骨の間は狭くなる。
- 腰椎の後方の椎間関節が亜脱臼となり関節包も線維化するが腰椎は安定する。
というような経過をたどります。
治療は椎間板と椎間関節にかかる負担を減らすことになる。それに必要な手技や日常生活動作の改善を行う。
腰椎椎間板ヘルニア
じっとしていても腰痛や痛み、しびれなどの下肢症状があり、仰向けで寝てまっすぐに伸ばした足を上げていくと70度以上で下肢の痛みやしびれが増強する。MRIでは椎間板の突出があるが脊柱管狭窄症ではない。
画像としびれや腰椎の棘突起を押した時の範囲が一致する。
椎間板は20歳より変性が始まります。
椎間板には常に負担がかかっているので負担により線維輪や軟骨終板に亀裂や断裂が生じヘルニアは発生します。1~3%に膀胱直腸障害が発生し、前屈が制限と痛みのある側への側屈や伸展制限が起こりやすい。
椎間板ヘルニアは正しく対処をすれば7割前後は回復へと向かいますが、排尿障害や筋力低下が著しい場合は手術療法を行います。
変形性腰椎症
一般的に20歳までは腰椎が変性することはありませんが、腰椎は他の部位よりも早い30歳を超えるころには椎間板の変性は始まります。それ以降も年々変性は進み50歳までには97%の椎間板に変性が見られるようになります。椎間板変性が進み椎間板が薄くなると腰椎後方の椎間関節の負荷が大きくなり椎間関節が痛み骨棘などが出来るようになります。この段階になると変形性関節症変化と同時に関節包や黄色靭帯の肥厚なども出ることになります。ちなみに椎間板変性より先に椎間関節が痛むことはありません。
また、椎間板の変性の途中で椎間板の内部が崩壊すると腰椎が不安定な状態となり、腰椎すべり症などを引き起こしやすくなります。
腰部脊柱管狭窄症
脊柱管狭窄症とは
間欠性の下肢機能障害
慢性の神経圧迫所見の存在
画像上の脊柱管狭窄所見
下肢への血流障害がないことと「Macnab’s Backache」では定義されています。
見た目では前屈位を取っていることが多く、腰を伸ばすと足のしびれや痛みが出ることがある。
下肢の腱反射は低下することが多く、更新する場合は頚椎や胸椎を疑う必要がある。
脊柱管狭窄症の約3%~4%に膀胱直腸障害が見られる。
しばらく歩くと下肢症状が出る間欠性破行は血行障害でも出るために鑑別が必要です。
血行性は立位で休んでも症状が軽減するのに対し神経性は座位や前屈をしなければ軽減しません。
また血行性の症状はこわばりや痙攣するような感じなのに対し神経性は末梢への放散痛やシビレとなります。
脊柱管狭窄症は保存療法で変化のないものや極端に強い症状が続く場合、明らかな筋力低下や膀胱直腸障害のあるもの以外は正しく保存療法を行えば比較的良好な結果を得ることが出来ます。
腰椎後縦靭帯骨化症
腰椎の後縦靭帯骨化症(OPLL)は頚椎や胸椎に比べると稀な疾患です。
OPLLでは腰や下肢の痛みやシビレ感が出現します。
腰椎分離症・腰椎分離すべり症
腰椎分離とは腰椎の関節突起の間に骨性の連絡がない状態です。それに症状を伴うものを腰椎分離症といいます。さらに腰椎が前後にズレを生じるものをすべり症と言います。分離症はスポーツマンの10~20%にみられ、さらに分離症の約10~20%がすべり症に移行するとも言われています。
腰椎分離症の主な症状は腰痛ですが分離はあっても無症状の方はたくさんおられます。しかし、すべり症となると症状は出やすくなります。分離症の治療は基本的に保存療法で手術となる方が稀です。
腰椎変性すべり症
年々腰椎の変性が進み、腰椎が前後方向へとズレて症状を呈するもの。
変性すべり症は中年以上の女性の第4腰椎に発生しやすい。
変性すべり症の症状は多彩で、腰痛、下肢痛、間欠性跛行、膀胱直腸障害など脊柱管狭窄症と同じような症状が出ます。
腰椎変性すべり症も基本は手術をしませんが、保存療法で改善されない場合や膀胱直腸障害がでるもの、腰椎の不安定性が明らかに著しい場合は手術を行います。
腰椎椎間関節嚢腫
腰痛、下肢痛、間欠性跛行などの馬尾症状を呈し、緩解と増悪を繰り返す。椎間板ヘルニアや黄色靭帯肥厚、黄色靭帯骨化症、脊髄腫瘍などとの鑑別が必要。椎間関節嚢腫は保存療法でも回復する可能性が高い。いつまでも痛みに変化がないものや馬尾神経症状を伴う場合に手術となることがあります。
腰椎椎間関節症候群
感覚麻痺や運動麻痺がなく腰痛を訴えるもので、椎間関節周囲にその原因がある疾患の総称です。痛みの部位は腰と腰仙部で左右のどちらかが優位に出やすく、腰部の後屈制限や前後屈制限が見られます。
腰椎faild back syndrome
腰椎疾患に対して手術を行ったにもかかわらず、腰痛や下肢痛などの症状が残存すするか増悪したケース。または一端は楽になったが再び症状が出た場合のこと。
腰の腫瘍性疾患
- 原発性脊椎腫瘍
- 転移性脊椎腫瘍
- 膿瘍類似疾患
腰の炎症性、破壊性疾患
- リウマチ性脊椎炎
特徴的な症状はないが腰背部痛が出やすい。
レントゲンやCT、MRIを参考に鑑別を行う。
保存療法が第一選択となる。
- 破壊性脊椎関節症(透析性)
- 感染性脊椎炎
- 医原性の炎症性・破壊性疾患
- 血清反応陰性脊椎炎
脊柱変形
- 腰椎変性後湾症
人の腰椎は本来前方に沿っています。ところが加齢により椎間板が薄くなり、腰椎の椎体が潰れ、腰椎を支える後方の支持組織が緩んでしまうと腰椎が後方凸となる港湾を呈します。主な症状は疼痛で、脊椎カリエスや腫瘍などによる変形との鑑別が必要です。治療は保存療法が大半となります。
- 腰椎変性側弯症・後側弯症
加齢による椎間板変性を基盤にした腰椎の変形。
- 非可橈性腰椎後湾症
代謝性・内分泌性疾患
- 骨粗しょう症性椎体骨折
骨粗しょう症状態に小さな外力が加わって脊椎骨折を引き起こしたもの。
転倒や躓き、咳などで発症する。骨折部位に一致した叩打痛がある。胸腰椎移行部に好発する。
骨粗しょう症の治療とともにギプスやコルセットなどを使用しながら治療を行う。2か月前後で回復が見られる。
- 骨軟化症
正常な骨になるためには骨基質が石灰化しなければいけないのですが、軟骨石灰化障害が起きると石灰化が不十分な類骨の割合が増加します。これにより骨形成の異常が起きたものをくる病・骨軟化症といいます。
子供の骨端線が閉鎖するまでのものをくる病。それ以降のものが骨軟化症と呼び、骨折や骨折の治癒が障害されます。初期は無症状ですが、進行すると円背や脊椎の港湾や側彎、釣り鐘状胸郭となります。
- ムコ多糖症
胸腰椎移行部の後弯変形となる。その他顔貌異常や低身長などが見られる。
- 骨Peget病
骨の変形と硬化をきたす慢性疾患。白人の有病率は3%も見られるが日本ではきわめてまれ。
骨Peget病の30~40%に脊椎病変がみられる。遺伝やウィルスによるという説が有力。
先天性疾患
- 形成不全性腰椎すべり症
先天性もしくは発育性の腰仙椎部(上位仙椎やL5の後方要素)の形成不全に起因するすべり症で、このすべり症は高度に進展しやすい。
腰痛、下肢痛、間欠性跛行、歩容異常、膀胱直腸障害などが出現する。
多角的には腰仙髄領域の知覚異常、筋力低下、若年者では緊張性ハムストリングがみられる。
小児では滑りが進行性であるために早期の手術となりやすい。
- 二分脊椎
一般的には脊髄の神経管閉鎖障害による椎骨の奇形。椎骨の異常があっても脊髄の異常のないものもある。
その他の腰椎疾患
- 職業性腰痛
作業などの労働に関連した職業性の危険因子により起こる腰痛。
心因性腰痛
労働による腰痛の原因としては長時間の振動、頻回の屈曲、ねじり動作、重量物挙上の他に仕事に関する低い満足度、ストレス、過度の要求、同僚や上司との関係不良などの因子が関係していると言われるように腰痛には心因性のものが含まれる。
高齢者の腰痛
- 脆弱性骨折
大腿部頸部骨折、椎体骨折、橈骨遠位端骨折などがあり、大腿部頸部骨折は予後が悪いためそのほとんどが手術を受けることになります。椎体骨折は骨粗しょう症による骨量の減少など骨の脆弱を基盤とする骨折の中で最も多く発症する。労作性背部痛と脊柱後弯変形が二大兆候です。ギプスや装具を持ちながら回復を目指しますが圧潰や偽関節となり、麻痺や腰背部痛の頑固なものは手術適応となります。
橈骨遠位端骨折は骨萎縮が進んだ高齢者が転倒時に手を着くことで容易に発症します。徒手整復にて骨折部位が良好で安定しているものはギプスなどによる固定を行いますが、徒手整復で安定性が保持できないものは手術適応となります。
- 変形性脊椎症
体構成変化により椎間板、椎体、椎間関節などの変性変化が生じて発症したものを指しますが明確な基準はありません。脊柱管狭窄症や変形による腰痛を呈するものが含まれます。
腰に関するご相談は
大阪市住吉区長居4-5-18
藤田鍼灸整骨院にぜひご相談ください!
06-6698-4568
参考文献
戸山芳昭他(2009)『最新整形外科学大系』中山書店.