大阪市住吉区長居藤田鍼灸整骨院
腓骨筋腱脱臼:腓骨筋腱脱臼-足関節外側の痛み、外くるぶし後ろのだるさや痛み、運動時の後足部外側の痛み、外くるぶし後方での腱の脱臼感や不安感、外くるぶし後ろの腫れなど
腓骨筋腱とは
腓骨筋腱とは、ふくらはぎの外側にあり、足の裏を外側に向ける動きを行う長腓骨筋と短腓骨筋の腱の部分です。
腓骨筋腱は、ふくらはぎの外側から始まった筋肉が外果(外くるぶし)に近づくにつれ腱となり、外果後方を通ったのちに足部前方方向へと急に角度を変え、長腓骨筋腱は第1中足骨や内側楔状骨の足底部分に、短腓骨筋腱は第5中足骨に付きます。
外果の後方を通ったのち急激に走行を変えるため腓骨筋腱は、外果後方にある腓骨筋滑車部に、上腓骨筋支帯(バンドのような組織)という支持組織により固定されています。
腓骨筋腱脱臼とは
腓骨筋腱脱臼とは、足を捻った際などに腓骨筋腱を固定する支持組織が破綻して、腓骨筋腱が腓骨筋滑車部より逸脱し、腱が外果を乗り越えて前方へと移動してしまうことで痛みや不安感が出現する疾患です。
腓骨筋腱脱臼は、足関節外傷の0.3~0.5%の頻度であると言われていて、稀であるために単なる足関節捻挫と間違われたり見逃されたりしてしまうこともあります。
腓骨筋腱脱臼の原因としては
スキーで生じる場合は、前方に転倒した時やターンで急激に踏み込んだ時など、足関節が背屈された状態で足関節を捻り急激に大きな収縮力が腓骨筋にかかった際に発生します。
スキー以外でも、サッカーやバスケットボールなでも見られ、同じように足関節が背屈した状態で捻ってしまうことにより発生します。
先天的な要因としても、もともと腱が太い、腓骨筋滑車が浅いなどが関係していると言われています。
また、足関節の捻挫により靭帯が伸びて関節が緩くなっている状態が続くと、腱が外れやすくなり脱臼が起こることもあります。
腓骨筋腱脱臼になると
受傷直後は、外果後方が腫れたり押すと痛みが出たりします。しばらくするとその周囲が青紫色になる皮下出血が認められることもあります。
その他、歩行時や左右へ動いた時に痛めた足で踏ん張ると、踵の外側の痛みや外果後方での腱の脱臼感や不安感が生じることもあります。しかし、中には症状を感じないのですが、腱が外果の上へと前方移動する状態のみが見られることもあります。
また、脱臼が慢性化すると、ケガをしてからかなりの期間を経過してから外果後方の腱の部分が腫れてくることもあります。
腓骨筋腱脱臼を疑うとき
腓骨筋腱脱臼を疑うときは、徒手的に腱を後方から前方に圧迫したり、足関節を動かしたりして、脱臼を誘発するか、脱臼をしそうな不安感があるかを確認します。
また、腫れが少なければ見た目で行っても分かりますが、外果後方の腓骨筋腱部分から外果後部にかけて指を当てた状態で、足の裏を地面に着けたまましゃがむと腓骨筋腱が前方へと脱臼する感触を得ることが出来ます。
腓骨筋腱脱臼になってしまったら
保存療法と手術療法があり、新鮮例では4~6週間のギプス固定にて手術をせずに保存療法での回復も可能です。
その場合の治癒率は50%であると言われています。
ギプス除去後、再脱臼がないことが確認されたら、関節可動域訓練、筋力トレーニング、歩行練習などのリハビリを行います。
リハビリを続けていても、日常生活や運動時に支障がある場合や、再脱臼が認められるような場合には手術療法にて破綻した支持組織の修復を行います。
腓骨筋腱脱臼は、初回受傷の早期であれば保存的に回復させることも可能な場合がありますが、稀な疾患であるため見逃されることも多く、回復可能な時期を逃してしまうこともあります。
よって、足関節捻挫をした時には必ず外果後方を押しても痛みがないのか、足裏を地面に着けたまましゃがんでも脱臼の感覚がないのかなどのチェックは行うべきです。
どの部位のケガにおいても、初めはよく腫れよく痛んでいる個所に目を奪われがちですが、その個所以外にも痛めてしまっている可能性はあるはずです。
そして、見逃した部分の損傷の方が長引くケースもあります。
当院では、捻挫やスポーツ障害などのケガの場合、その他の部位も痛めていないかの可能性を十分に考え、徒手検査やエコー観察などをしっかりと行います。
大阪市住吉区長居4-5-18
藤田鍼灸整骨院
06-6698-4568
参考文献
清水 克時・粟屋 梧老・松田 文秀・脇田 重明・前川 正毅(1985)『保存的治療の治癒した外傷性腓骨筋腱脱臼の1例』整形外科と災害外科 33巻3号,134-137
山本 清(2017)『腓骨筋腱脱臼~治療アルゴリズムについて考える~』