大阪市住吉区長居西 藤田鍼灸整骨院
後縦靭帯骨化症(OPLL):四肢のしびれや痛み、手の巧緻運動障害、歩行障害、膀胱直腸障害、背骨の動きが悪い、身体が硬くなった、背筋にコリや痛みを感じるなど
後縦靭帯とは
人の首の骨や背骨、腰の骨などと呼ばれている脊椎は、椎骨という骨が椎間板という軟骨と交互に積み重なり作られています。
その脊椎には、脳から出た神経の束である脊髄が中を通るための脊柱管という管が頭の付け根から腰の下まで通っています。
その脊椎には後縦靭帯という、それを支えるためのバンドがあり、後縦靭帯は脊柱管の中から見ると脊柱管前面の位置にあり、上は首の2番目の骨である軸椎から、下は骨盤後面の平たい骨である仙骨までを繋ぎ止める強靭な靭帯となっています。
(後縦靭帯は脊椎に付いているのですが、骨である椎体部分よりも軟骨である椎間板に付いています)
また、後縦靭帯は顔が下を向くときには首の動きを制限することで、その動く範囲を決めているのですが、ある程度のゆとりをもって椎体後面を繋ぎ止めることで、脊椎の安定性とともに適度な動きを許容しています。
後縦靭帯骨化症(OPLL)とは
後縦靭帯骨化症とは、脊柱管の内部を通り、脊椎の安定性と動きを許容している後縦靭帯というバンドが分厚くなったり骨の様になったりしてしまう疾患です。
後縦靭帯が分厚くなって骨のように硬くなってしまうと、脊柱管というホースのようなスペースの中が狭くなるために脊髄が圧迫され、脊髄症状を引き起こすことがあるのです。
また、骨化が脊椎のどの部位で起こるかにより、それぞれ頚椎後縦靱帯骨化症、胸椎後縦靱帯骨化症、腰椎後縦靱帯骨化症と呼ばれます。
後縦靭帯骨化症の日本での発生頻度は2~4%で、男女の比率は2対1で男性における発生頻度が高く、中年以降の50歳前後で発症することが多いと言われています。
後縦靭帯骨化症は、連続型、分節型、混合型、限局型に分けられていて、連続型と混合型は骨化が進みやすく、分節型と限局型は骨化が進みにくい傾向にあります。
また、後縦靭帯の骨化により狭くなった脊柱管のスペースが6mm以下では脊髄症になりやすく、14mm以上では脊髄症になりにくいようです。
その間となるスペースが6mm~14mmのケースは、脊椎の動きが大きいと悪化しやすくなるために生活様式や運動の方法などが適切であることが大切と言えます。
後縦靭帯骨化症(OPLL)の原因
後縦靭帯骨化症となるはっきりとした原因は現在のところ不明ですが、なんらかの遺伝的関与があると考えられており、糖尿病や代謝異常、成長ホルモンは後縦靭帯骨化症の発生に関与しているのではないかと言われています。
また、頚椎へ強いショックを与えてしまうことなどの機械的刺激も後縦靭帯骨化症の発生や進展に関与する可能性があるといわれています。
後縦靭帯骨化症は、骨化があるからと言って必ずしも症状が発現するわけではなく、症状が発現するのは約半数であるといわれています。
後縦靭帯骨化症(OPLL)になると
頚椎後縦靭帯骨化症(OPLL)になると、はじめは首筋や肩甲骨周辺、指先の痛みやしびれを感じることが多いです。
さらに症状が進行すると、次第に痛みやしびれの範囲が広がり、脚のしびれや感覚障害、足が思うように動かないなどの運動障害、両手の細かい作業がしづらくなる手指の巧緻運動障害などが出現します。
そして、もっと重症になると、立ったり歩いたりすることが困難となったり、排尿排便障害が出現したり、一人での日常生活が難しくなることもあります。
頚椎での脊髄症状は、頚椎の形状や可動域の違いなどにより、上位頚椎より下位頚椎の方が起こりやすいです。
胸椎後縦靭帯骨化症の場合の初期症状は、体幹や下半身に症状が出ますが、なかでも下肢の脱力や、しびれを感じることが多くなります。
重症になると歩行困難や排尿排便障害が出現することもあります。
後縦靭帯骨化症(OPLL)疑う場合
触った感覚や筋力、腱反射などを詳しく調べ、疑わしい場合はレントゲン、CT、MRIなどの画像にて確認し判断します。
後縦靭帯骨化症の治療の原則は、骨化によって圧迫されている神経を保護することを目的とした保存療法になります。
頚椎の場合は、頚椎牽引療法・頚部カラーによる固定(頚椎のコルセット)・頚部の筋肉をほぐすなどを行いますが、症状が悪化することもあるので充分な観察のもとに行う必要があります。特に後縦靭帯の骨化がある場合は、首に強い力を加える治療はとても危険です。
首はそもそも重要な神経を通す、ある意味人の弱点とも言える部位ですから保存療法を行っている間は、日常生活動作における注意点や首の張りなどを緩和するための方法は丁寧で繊細な方法で行われることが大切になります。
痛みやしびれが強い場合には、筋弛緩剤や消炎鎮痛剤、ビタミンB剤などの内服により自覚症状の軽減が得られることもあるようです。
しかし、保存療法で症状の軽快がみられず脊髄症状が進行する場合や、脊柱管の狭窄が強い場合などは手術療法を行います。
この病気の進み方は患者さんにより様々で、軽いしびれや鈍痛で長年過ごせる方や、数ヶ月から数年の経過で手足の動作が強く障害される方もいますので、経過をよくみて慎重に判断しながら治療を選択していくことが必要です。
また、軽微な外傷により四肢麻痺を起こし、その麻痺が急激に増悪することもあるので運動や治療は、患者さまがよく考えて選ぶことが必要だと思います。
後縦靭帯骨化症の手術後のリハビリや手足のしびれ、運動障害などのご相談は当院にお任せください。
大阪市住吉区長居西3-1-33
藤田鍼灸整骨院
06-6698-4568
参考文献
『頚椎脊柱靭帯骨化症』最新整形外科学大系 頚椎・胸椎 第1版,292-296,株式会社 中山書店
『頚椎後縦靭帯骨化症』プラクティカルマニュアル 肩疾患保存療法 第1版,65-67,金原出版株式会社