大阪市住吉区藤田鍼灸整骨院
上腕二頭筋長頭腱炎:肩の前面の痛み、腕を動かすと肩が痛む、肘を曲げると肩の痛みが増すなど
上腕二頭筋とは
上腕二頭筋とは、腕の前面にあるいわゆる力こぶを作る筋肉のことです。肘を曲げたり(屈曲)、肘を90度に曲げて親指を真上に向けた状態から手のひらが上を向くように手を外側に捻ったりする回外の働きをします。
また、肩関節部では腱板とともに、上腕骨頭と肩甲骨の関節窩の位置関係を保つように、肩の安定性をもたらす働きもしています。
上腕二頭筋は、二頭筋という名前の通り、筋肉の上部が長頭と短頭という二つの筋肉の束に分かれています。
長頭は、長頭腱として肩甲骨関節上結節から始まり、上腕骨頭の前面(結節間溝)を通り、上腕中央部で短頭と合流して橈骨粗面と一部は前腕骨間膜に付きます。
長頭腱は、関節内部分、結節間溝部分、関節外部分に分けられます。
その中の結節間溝部分では、長頭腱は筒状の滑膜に包まれ横靭帯により結節間溝に固定されています。
上腕二頭筋長頭腱炎とは
長頭腱の結節間溝部分では、肩甲骨側から水平に入ってきた長頭腱が垂直方向に向きを変えるために摩擦やなどのストレスがかかりやすく、上腕二頭筋を使いすぎると炎症を起こしてしまいます。
上腕二頭筋長頭腱炎の好発年齢は20~40歳代で、腕を上げることが多いスポーツ(野球、水泳、テニス、バレーボール、ハンドボールなど)をする方によく見られます。
上腕二頭筋長頭腱炎になると
急性期では結節間溝部に強い圧痛や腫脹、熱感がみられ、肩を少し動かすだけでも痛みが出ます。
慢性期では、結節間溝部の圧痛と、物を持ち上げるなど力を入れて肘を曲げると痛みが出ます。
いずれの場合でも長頭腱炎では腕を動かすことは出来ます。
上腕二頭筋長頭腱炎のテスト
肘を曲げた状態から、前腕を外旋する力に抵抗を加えることで、肩に痛みを感じると陽性となるヤーガソンテスト
手のひらを上へ向け、肘を伸ばした状態から腕を前方に上げる力に抵抗を加えることで、肩に痛みを感じると陽性となるスピードテスト
肘を伸ばしたまま腕を待後ろに引き、肩に痛みを感じたら肘を曲げることで肩の痛みがなくなると陽性となるストレッチテスト
これらの徒手検査法に加え、結節間溝部の圧痛をみたり、その他の障害のテストを行ったりすることで、その他の障害を除外できると長頭腱炎である確率が上がります。
上腕二頭筋長頭腱炎は、基本的には単独の疾患であることが多いですが、たまに肩関節周囲の疾患を合併していることもあります。
上腕二頭筋長頭腱炎になったら
上腕二頭筋長頭腱炎は使いすぎによる腱の炎症のため、安静を保ち炎症を抑えることができれば、ほとんどの場合は回復します。
炎症が強い時にはアイシングや上腕二頭筋の緊張を緩めるための手技、ハイボルテージ療法や鍼治療などがおすすめです。
スポーツをされている方などで、肩の前面の痛みや肘を曲げると痛いなどの症状でお困りの方は、ぜひ当院にご相談ください!
大阪市住吉区長居4-5-18
藤田鍼灸整骨院
06-6698-4568
参考文献
『上腕二頭筋長頭腱炎』プラクティカルマニュアル 肩疾患保存療法 第1版,81-88,金原出版株式会社
冨田恭治:『上腕二頭筋長頭腱炎』最新整形外科学大系,第13巻肩関節・肩甲帯,10章,変性疾患.344-355.中山書店(2007)