野球肩―SLAP損傷(肩関節上方関節唇損傷)

投球障害肩、投球による肩前面の痛み、肩にひっかかり感じる、肩に不安定感があるなど野球肩のご相談は大阪市住吉区長居の藤田鍼灸整骨院にお越しください!

:SLAP損傷(肩関節上方関節唇損傷)

 

SLAP損傷とは、上腕二頭筋長頭腱と関節唇の後上方から前上方を合わせた部分の損傷のことをいいます。

関節唇というのは、関節窩の縁を取り囲む繊維製の結合組織のことで、関節窩に収まる上腕骨の骨頭を安定させる役割があります。

 

原因としては、野球などボールを投げる動作の繰り返しによって損傷することが多いです。

関節唇と関節唇についている上腕二頭筋の腱部分が上腕二頭筋に引っ張られたり、肩にねじれの力が加わったりする動作で関節唇の上方と棘上筋腱・棘下筋腱が擦れたり衝突したりすることによって関節唇に損傷や剥離を起こすと考えられています。

 

症状としては、SLAP損傷の多くは日常生活ではほとんど痛みを感じませんが手を上に上げると痛みが出ることもあります。しかし投げる時には痛みやひっかかり感、抜ける感じなどが出ます。それもボールをリリースする辺りで出るのが特徴的です。

 

SLAP損傷があるのかどうかを判断するためには、クランクテスト(clunk testまたはcrank test)で痛みやひっかかり感、クリックが出たりオブライエンテスト(O’Brien test)を行い、疑いがあればMRIを撮って確認します。

 

なお投球が原因となる障害には以下のような特徴があります。

障害名 特徴 専門的特徴
SLAP損傷

 

手を上げた時あるいは投球時の痛み、引っかかり感や抜ける感じなど 外転外旋位で痛みが出ることが多い。Clunk test,crank testで引っかかり感、クリックが生じる
インピンジメント症候群 コッキング後期に肩の後上方に痛みがある 外転外旋位で痛みが生じる。水平外転を強くすると痛みが増強する。屈曲90度での内旋可動域が減少している事が多い。
前方不安定症 コッキング期に肩の前方に痛みがある 外転外旋位で痛みが生じる。Relocation testが陽性である
Bennett病変 無症状のものもある、コッキング期または減速期ないしフォロースルー期に肩後方が痛む 肩関節の後方に圧痛がある。仰臥位で外転外旋位を強制すると肩の後方に痛みを生じるが、relocation testは通常陰性である。屈曲90度での内旋可動域が減少している
リトルリーガーズショルダー 投球時に痛みが出るが痛みの出る投球相や痛みの部位は一定ではない事が多い 上腕骨大結節の下方や外側面に圧痛がある。回旋動作に抵抗すると痛みがある

またSLAP損傷の疑う場合は以下のようなテスト法を行います。

O’Brien test 肘は伸展位、肩関節を90°屈曲し、そこから10°水平内転位した状態で,母指を下に向けた状態にする。次に患者さんにその位置から上肢を挙上してもらうように指示し、検者はこれに抵抗を加える。

次に同じポジションで前腕を回外位にした状態からの挙上に抵抗を加える。この時に、最初の動きで肩の奥に痛みやクリックが誘発されるが二番目のポ動きでは痛みやクリックが軽減、もしくは消失する場合に陽性となります。

このテストは肩鎖関節に痛みが誘発される場合は陽性とはしません。

Crank test 肘を90°屈曲させた状態にして肩関節を肩甲骨面で外転します。次に検者が肘側より上腕骨に軸圧を加えて上腕骨頭を肩甲骨関節面に押しつけ、内外旋を行う。そうすることでクリックを生じるか痛みが再現された場合を陽性とします。

(この時の肩関節の外転の角度は90°やそれ以上の角度にしている文献が多く、SLAP損傷は投球による損傷が多く、関節唇上方の損傷ですから肩の角度や軸圧の加え方もその部分に負荷がかかるようなイメージで行うと良いと思います)

Relocation test 被検者を仰臥位とし,肩を90°外転90°外旋位にして後方から骨頭を前方へ押し出す.この際上方もしくは後方に痛み

が誘発され,逆に前方から後方へ骨頭を押し込むと痛みが消失する場合を陽性とする.

90°外転位最大外旋テスト 肩関節を他動的に90°外転位として、そこから最大外旋させた際に肩関節の上方もしくは上後方に痛みが誘発される場合を陽性とする。

これらのSLAP損傷のテストで陽性となった場合でも完全にSLAP損傷だとは言えないようです。この中ではO’Brien testと90°外転位最大外旋テストを行い判断を行うことが確率的には良いとの報告があります。しかし、SLAP損傷をみるためにテストを行っても腱板障害や長頭腱炎、腱板疎部損傷などで痛みが出ることもありますので総合的な判断が必要だと思います。

 

SLAP損傷の治療としては、痛みが強い場合は3~4週間投球を休止し、しばらく患部を安静にします。

痛みが治まってきたら、肩関節の安定性を増すための筋力トレーニング、特にインナーマッスル(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)を中心に鍛えていく運動療法を行います。また、後下方関節包の拘縮を取るためにストレッチ運動も行います。
また、野球などのスポーツが原因となる損傷の場合には、投球動作などのフォームのチェックや指導を行っていきます。

損傷や剥離の程度が大きく、症状が強い場合などには、関節鏡を用いた修復手術などが選択されることもあります。

 

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参考文献

武田芳嗣・湊省・成瀬章・前田徹・藤井幸治・椎野滋:野球選手の上方関節唇損傷に対する各種徒手テストの有効性,(2004)Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal, VOL.9, NO.1.

 

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