大阪市住吉区長居藤田鍼灸整骨院
足根洞症候群:足関節外側の痛み、外くるぶし少し前の痛み、足関節捻挫後遺症、足関節捻挫後に残る足部の痛み、足関節の不安定性、繰り返す捻挫など
足根洞とは
足根洞とは、足の外くるぶしのやや前方にある踵骨(踵の骨)の前方部分と距骨(足首前面のしわの下にある骨)との間にある洞窟のような空間のことです。
足根洞内部には、距骨と踵骨をつなげる関節包の一部でもある骨間距踵靭帯(TCIL)があり、足根洞内部はその骨間距踵靭帯以外は脂肪組織で満たされています。
また、足根洞の神経支配は後距踵関節の内側部に脛骨神経の枝、外側部には深腓骨神経の枝が分布しています。
足根洞症候群とは
何らかの原因により足根洞に炎症が起きた状態で、その部分の圧痛と後足部の痛みが主な症状ですが、後足部は不安定感を感じる方も多くみられます。
しかし、あまりに不安定感が強い場合は、距骨下関節不安定症などを疑うべきかもしれません。
また、足根洞症候群が悪化した場合は、でこぼこ道や傾斜のある道を歩くだけでも痛みが増悪したり、すねやふくらはぎまで痛みが広がったりすることもあります。
一般的には活動性の高い20~30歳代で発症することが多く、男性よりは女性に多くみられる傾向があります。
足根洞症候群が発症する過程は
足根洞症候群が発生する理由としては諸説あるのですが、足根洞に問題が発生するケースの多くは、足首の内反捻挫などの外傷後に適切な治療を行なわなかったためだとされています。
それは、
- 内反捻挫により足関節の靭帯が損傷された場合に、足根洞内に出血を起こし、これが瘢痕組織や繊維組織に変わり骨膜炎や浮腫を起こすことで痛みが出る
- 繰り返しの捻挫による足根洞付近のストレスによる慢性滑膜炎を中心とした炎症
などと考えられています。
足根洞症候群の見極めは
足根洞症候群を疑うときには足根洞部に圧痛があるのかを先ずは確認します。
足根洞は足首を足の裏が内側を向くように曲げ、外くるぶしを押さえた指を斜め前方にずらす。するとすぐに指が止まるくぼみがあり、その部分が足根洞となり、足根洞に問題があればその部分を押すと痛みを感じることが多いです。
医療機関では足根洞に局所麻酔を行うことで痛みが明らかに緩和されることが診断の決め手となるようです。
そ他の足根洞の検査としては、レントゲンでのストレス撮影や関節造影、MRIなどを行うこともあるようです。
治療としては
基本は保存療法になります。
テーピングや足底板などで足根洞部分へかかる負荷を軽減したり、注射により炎症を抑えたりします。
症状が落ちついて来たころを見計らって足関節周りの筋力強化(特に腓骨筋)やバランス訓練などで、足関節の機能を向上させてあげることも必要です。
保存療法で改善されなかった場合は、足根洞の圧迫を除去する手術療法が選択されることもあります。
当院では
足根洞症候群を疑う場合、先ずは受傷機転や痛みの経過、過去の既往などをしっかりと伺うことでしっかりと的を絞ります。
次に足関節周囲の圧痛部位を丁寧に見ていきます。足根洞部分は押して痛みを感じる方向や響き方を健側と丁寧に比較します。
さらに周囲の腱の炎症や前方突起の骨折などがないか、足関節の角度やア土踏まずの状態はどうかなども判断材料にします。
そして最後にエコー観察を行います。
施術としては
足底板やテーピング、下腿や足底の筋肉の調整などを行い足根洞への負担を減らすことや、鍼灸施術、ハイボルテージ療法などを行います。
たかが捻挫、されど捻挫です。足関節周囲には様々な靭帯が存在します。骨折を起こせば分かり辛い部位も存在します。足首の痛みや違和感など、初期対応を正しくすれば防ぐことが出来る障害は沢山あります。捻挫を起こしてしまったら詳しく見てくれる専門家にて必ずチェックしてもらいましょう!
大阪市住吉区長居4-5-18
藤田鍼灸整骨院
06-6698-4568
参考文献
壇 順司・高濱 照「骨間距踵靭帯の形態と機能に付いて―第2報-」(2010)理学療法学supplement
窪田 誠「足根洞症候群」(2007)最新整形外科学大系.中山書店