大阪市住吉区長居西 藤田鍼灸整骨院
膝蓋下脂肪体炎(フォッファー病・Hoffa病):膝のお皿の下の腫れや痛み、膝の下を押さえたら痛い、膝を伸ばす時に痛い、階段の上り下りで痛い、膝の捻挫や打撲後のお皿の下の痛みなど
膝蓋下脂肪体(しつがいかしぼうたい)とは
太ももの前面の筋肉である大腿四頭筋(だいたいしとうきん)は膝のお皿の少し上で部分で大腿四頭筋腱(だいたいしとうきんけん)となり、膝蓋骨(しつがいこつ)を覆い膝蓋骨粗面(しつがいこつそめん)に付きます。
膝蓋下脂肪体とは膝のお皿の一番下の部分と膝蓋骨粗面の間にある膝蓋腱(しつがいけん)の裏にある脂肪で出来た組織です。
膝蓋下脂肪体の働きとしては、膝を打ったり膝を床に着いた時などの外力をやわらげるクッションのような役割や、膝の曲げ伸ばしの際に形を変えながら膝関節の中の空間を埋め、関節が滑らかに動くように補助する役割を果たしています。
そして、膝蓋下脂肪体には神経や血管が豊富に存在します。
膝蓋下脂肪体炎(しつがいかしぼうたいえん)とは
膝蓋下脂肪体炎は、膝を打ったり膝を床に着いたりした時に加わる繰り返しの機械的な刺激により、膝蓋下脂肪体に炎症や微小な内出血が発生
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本来の膝蓋下脂肪体ではない結合組織が増殖し肥大して、肥大した結合組織が瘢痕化することなどにより脂肪体が柔軟性を失う
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肥大や硬くなった脂肪体は、関節に挟まれるような力や外部からの刺激を受けやすくなるために神経が痛みを感じやすくなるような状態になると考えられています。
また、膝蓋下脂肪体炎は主に10~20代の若い女性によくみられ、多くは両側性であると言われています。
膝蓋下脂肪体炎になると
膝蓋骨の下にある膝蓋腱の両サイドが腫れてきたり押すと痛みが出たりします。
階段昇降時などでは膝を伸ばす時に痛みが強くなることが多くなります。
また、膝蓋下脂肪体には神経が多く存在するために押さえたり膝を動かしたりしなくても脂肪体自体が痛みを発することもあり、進行すると痛みで歩けないなど日常生活に支障をきたすこともあります。
膝蓋下脂肪体炎かな?と思ったら
Hoffa sing(フォッファサイン)というテスト法があります。
患者さまは仰向けで寝た状態で膝と股関節を90°に曲げます。
検査をする人が曲げた膝の膝蓋腱の両側を指で圧迫したまま、股関節と膝を比較的早いスピードで同時に伸ばしていき足がまっすぐになるようにすることで足が伸びきる手前で痛みが誘発されるのかを確認します。
その際に痛みを感じた場合、膝蓋下脂肪体炎を疑います。
あと当院では、押して痛いかどうかの圧痛や膝関節を反らす力を加えることで痛みが出るかどうか、半月板や膝蓋靭帯などに負担をかけた時との痛みの出方の違いなども判断材料として考えます。
また、エコー観察で左右の脂肪体の状態や厚さを比較して確認したりもします。
膝蓋下脂肪体炎を回復させるには
基本的には保存療法が原則になります。
一般的には急性期で患部に炎症が強いときは患部を安静に保ち、アイシングで炎症や痛みを軽減させます。
痛みが強い場合などは、医療機関では注射で炎症や痛みを抑えることもあると思います。
急性期を過ぎると、温めることにより血液の循環を促進して回復させていきます。
保存療法を行っても効果が得られないときには、関節鏡下手術にて膝蓋下脂肪体を部分摘出することもあるようです。
当院では
アイシングや温熱療法、ハイボルテージ療法や鍼灸施術を膝の状態や仕事量に合わせて使い分け、炎症の状態を見極めながら行います。
そして、膝の状態が落ち着いて来たら膝への刺激量を様子を見ながら増やすことで循環を改善し早期回復を目指します。
また、膝蓋下脂肪体炎では大腿四頭筋の緊張が強くなっていることが多いので、手技を用いて筋肉の緊張を緩めていくこともポイントだと感じていますが当院ではこの時、筋緊張を緩めるためにストレッチは行いません。そこも重要です。
膝蓋下脂肪体炎(Hoffa病)は回復までに時間がかかりますが、根気よく治療を続けていくと回復していくことが多いです。
しかし、すべての疾患がそれにあたりますが、間違った時期や方法で刺激を加えたり、間違った日常生活の注意や運動を行うと治しているようで長引かせている方は多く存在します。
体を治す時は理屈の正しい、根拠のある治療法を納得のいく形で治せるペースで行って頂きたいと思います。
大阪市住吉区長居西3-1-33
藤田鍼灸整骨院
06-6698-4568
参考文献
大谷 俊郎(1999)『Hoffa病』よく理解できる 頚・肩・腰・股・膝の診療 永井書店,296-297