大阪市住吉区長居藤田鍼灸整骨院
変形性膝関節症:膝の痛み、膝に水がたまる、階段で膝が痛む、膝の痛みで正座が出来ない、立ち上がりで膝が痛む、動きはじめに膝が痛い、膝が変形してきた、O脚、手術後の膝の痛み、手術後のリハビリなど
膝関節とは
膝関節とは太ももの骨である大腿骨の下端と、すねの骨である脛骨の上端、それに一般的に「お皿」と呼ばれる膝蓋骨で構成される関節です。
その大腿骨の下端と脛骨の上端、膝蓋骨の裏面は関節軟骨で覆われ、それにより膝の曲げ伸ばし運動は氷の様に滑らかに滑り動かせるようになっています。
そしてその大腿骨と脛骨の間には半月板と呼ばれる軟骨のクッションがあり、半月板によって大腿骨の下端と脛骨の上端は適合性を増したり、関節面にかかるはずの負担から、その弾力性で骨を守ったりしています。
また、膝関節の中央部分には前十字靭帯と後十字靭帯、側方には内側側副靱帯と外側側副靭帯があり、2本の十字靭帯は大腿骨と脛骨の前後のずれを防ぎ、内外側の側副靭帯は横へのずれを防いでいます。
変形性膝関節症は
膝関節の軟骨が老化やすり減ることによって出ることになる、骨のトゲや軟骨が硬くなること、さらに膝関節を包む関節包という袋の内側にある滑膜が炎症を起こし、膝の痛みや運動の障害、変形を来す状態です。
男性よりも女性に多くみられ(男女比1:4)、45歳くらいから始まる方も見られるのですが、60歳代後半から始まるケースが最も多くなります。
変形性膝関節症の分類
変形性膝関節症には一次性と二次性のものがあり、両側が同じように傷んでくる一次性のものに対し、
骨折や捻挫などの外傷、リウマチや痛風などの疾患が元となり痛んでくる二次性の場合は片膝のみが痛んでいる場合が多くなります。
また、変形性膝関節症は、大腿骨と脛骨、それに膝蓋骨の3つの骨の痛み方により、隙間は狭くはないが症状のある初期型に加え、内側型、外側型、内側・外側型、膝蓋型、内側・膝蓋型、外側・膝蓋型などに分類されます。
このうち変形性膝関節症は、内側型、初期型、内側・膝蓋型が多く、それ以外は少ないので主に膝の内側に問題が発生する障害と言えます。
原因としては
肥満や加齢、筋力の低下、膝の不安定性、外傷(骨折、靭帯や半月板の損傷など)の後遺症により、過剰な力が関節に掛かることなどが考えられます。
- 運動量の減少により筋力が低下すると、筋肉にて膝を支えていた力や安定感が減るので関節にかかる負担が大きくなること。
- 太ももの骨とすねの骨の間にある半月板や、太ももの骨の一番下側とすねの骨の一番上の部分を覆う関節軟骨をケガにより痛めてしまったり、感染により炎症を起こしたり、年月とともに硬くなり擦れて薄くなること。
- 膝を安定させるためのバンドである十字靭帯や側副靭帯を痛めることで、関節の安定感が悪くなり膝にぐらつく様な力がかかり、軟骨が擦れたり削れたりすることが多くなること。
これらによって膝の半月板自体や、上下の骨や軟骨の負荷が大きくなり、軟骨がすり減ることで変形は始まります。
そして氷以上に滑ると言われている関節軟骨のすり減りが進行すると、関節軟骨の奥にある骨が露出して削れ出すと、すり減る力は飛躍的に大きくなるために骨の変形は加速します。
症状としては
痛み、膝の動きが悪くなる、関節の隙間を押さえると痛む、膝がぐらつくようになる、関節に水と言われる関節水腫がたまる、太ももの筋肉が痩せてきたり筋肉の力が弱くなったりするなどご主な症状です。
また、進行の状態による痛みの特徴としては以下の様になります。
- 初期には立ち上がりや歩き始め、動作開始時のみ痛みが出ますが休むと痛みは落ち着きます。
- 中期になると、痛みのため正座や階段の昇り降りが困難になってきて、夜間痛などを感じることも多くなります。
- 末期になると、まっすぐに歩くだけでも痛くなったり、膝が伸びなくなったり正座が出来なくなるなど日常の生活にも支障をきたします。また、安静時にも痛むようになり、この頃になると軟骨の擦り減りが進行し、削れた軟骨部分から骨が見え、骨が削れていくことになりO脚など膝の変形が始まっていることが多いです。
診断は
問診で動作開始時の痛みや夜間痛の有無
いつ頃から出た痛みなのか、それ以来どのような変化があったのか
大けがをしたことはないのか、
リウマチなどの疾患はお持ちでないかなどを詳しく聞きます。
徒手検査では
- 膝を押して痛む個所はないか
- 関節の動く範囲はどうか
- O脚変形などの変形はあるか
- 膝に水が溜まっていないか(膝蓋跳動)
- 膝のお皿の関節は痛んでいないか(PC・PG)
などを行い、必要であれば
半月板のテストや十字靭帯のテストも行います。
医療機関ではさらにレントゲン検査や必要であればMRI検査や骨シンチなども行うでしょう。
また、膝関節は関節包という靭帯性の膜に包まれ、その中には一般的には〝水〟と呼ばれる関節の潤滑油の役割をする関節液で満たされ関節の動きを滑らかにしています。
この関節液は、膝の関節を包む関節包の内側にある滑膜と言う部分で、分泌と吸収をされる形で常に循環することで、その粘り気のある性質と3,5cc前後の容量は保たれています。
「水が溜まった」と言われる状態は
関節内を痛めたり軟骨がすり減ったりすると、削れた軟骨のクズが関節包内側にある滑膜に付着する➡️滑膜が軟骨クズの付着により炎症反応(免疫反応)を起こす➡炎症反応により滑膜中の毛細血管から血漿が漏れ出す➡️そうして水腫が溜まる。
という状態になるのです。
つまり「水が溜まる」という状態は、主に滑膜の炎症が原因のため、膝に〝水〟が溜まらないようにするためには滑膜に炎症を起こさないこと。
滑膜に炎症を起こさないためには、膝の軟骨をそれ以上削れない状態にして削れによる「クズ」を出さないようにすることが必要なのです。
水を抜くと癖になるという話は
膝の軟骨が削れていく状態を削れない状態にすることが出来なければ、何度水を抜いても再び水が溜まるために「水を抜いたら癖になる」と思われている方が多いと思います。
つまり「水を抜いたから癖になる」のではなく、水が溜まる原因を解決させていないから当然水はすぐに溜まるわけです。
変形性膝関節症の治療は
手術以外の方法と手術による治療に分けることができます。手術以外の治療としては、運動療法(筋トレやストレッチなど)、炎症や痛みを抑えるための薬などを併用して行います。
それでも回復しないケースには手術を行います。変形性膝関節症の手術は部分的に人工関節にするものと全部を人工関節にするものがあります。
手術を行うととても辛かった痛みが全くなくなることが多く、O脚だった下肢がまっすぐになるために膝年齢は見違えるように若くなります。
しかし、いいことばかりではなく人工関節の種類にもよりますが、膝の曲がる角度が制限されたり、時には痛みも残ったりすることもあります。
また、感染のリスクや術後の痛みが強い方もおられ、人工関節の使用できる年数にも限りがありますので出来るだけ手術をしないための努力が出来る人は頑張ってほしいところです。
膝の変形と痛みでお困りの方は多いと思います。そしてあきらめている方も多いかもしれません。
しかし、変形=痛みではなく変形していても痛みの無い方はいらっしゃいます。
当院では
膝の痛んでいる部分を回復させ変形した関節でも痛みが出ない状態にするためには、関節を守ってくれる筋肉の調整や歩行時の膝関節、足関節の角度の調整、関節に負担をかけない方法での筋力強化を行います。
これら関節の負荷を減らすための手段を出来るだけ行うことで膝関節のすり減りを緩和し、角度を変えることですり減った面に負荷がかからないようにしていきます。
ただし!
運動に関しては、痛みの強い間の運動はかえって逆効果の時もあります。
運動は行う時期、行う量、運動方法などをきっちりと行うことが大切で、運動はやり方によっては薬にも毒にもなります。よって専門家のアドバイスを受けることは必須です。
また、変形性膝関節症の方に当院では、EMSという機械を使って筋力強化や筋力低下の予防を薦めています。
動けない時期にEMSで筋力低下を防ぎ、運動が出来る様になっても併用することでより効率よく鍛えて行くことは、変形性膝関節症の治療と予防においてとても意味のあることになると思います。
過去には
ずっと注射などでしのいできた方が、いよいよ注射が効かなくなり膝の変形も重度なために手術を勧められた方が当院へ来られました。
その方は手術が怖いので何とかしてほしいと訴えられましたので、当院の施術、トレーニングメニューに加え手術を勧められるほどの状態であったために体重のコントロールも提案しました。
施術とトレーニングを行いながら、その方は体重を10キロ落としてくれました。それから15年、その方は手術をしないままに過ごすことが出来ています。
変形性膝関節症でお悩みの方へ
変形性膝関節症の手術をせずに日常生活を送るためには、努力が必要な部分もありますが、痛みで動けなくなった時のご自身の辛さと、いつまでも自分の足で歩き、好きなことが出来る楽しさを想像し比較しながら、それをやる気に変えることで頑張って頂きたいと思います。
膝の痛みや人工関節などの膝の手術後のリハビリは、ぜひ当院にご相談ください!
大阪市住吉区長居4-5-18
藤田鍼灸整骨院
06-6698-4568
参考文献
齋籐 知行・高橋 晃『変形性膝関節症』最新整形外科学大系(2007).中山書店