大阪市住吉区長居西 藤田鍼灸整骨院
膝内側側副靭帯損傷(MCL損傷):膝を捻った、膝の内側の痛み、膝の捻挫、膝を痛めた、膝の不安定感など
膝関節とは
膝関節は、太ももの骨である大腿骨とすねの骨である脛骨、そして膝蓋骨の3つの骨で構成される人体の中で最も大きな関節です。
膝関節は体重のかかる荷重関節ですが、実はぐらついたり捻ったりしやすい非常に不安定で適合性の悪い関節です。
膝関節が不安定な状態では膝に捻ったりずれる力が働いた場合、簡単に痛めてしまうことになりますので膝関節には前十字靭帯・後十字靭帯・内側側副靭帯・外側側副靭帯という4つの靭帯と半月板が重要な役割を果たすことになります。
膝の内側側副靭帯とは
内側側副靭帯は、膝の内側で太ももの骨と膝の骨をつなぎとめるために付いている靭帯で(大腿骨下部の内側上顆から脛骨の上部内側)その内側側副靭帯は浅層、深層、後斜靱帯の3層構造となっていて、太ももの骨に対してすねの骨が外側にずれないようにする役割をしています。
その中でも浅層は膝を伸ばす時や曲げる時にピンと張ることで膝に安定性を支えています。
内側側副靭帯損傷とは
内側側副靭帯損傷とは、何らかの理由により膝関節の内側の靭帯である内側側副靭帯が損傷を受けた場合のことです。
膝の内側側副靭帯損傷は、スポーツ活動において非常に起こりやすいものであり膝の靭帯損傷の中で最も頻度が高い疾患です。
内側側副靭帯を引き起こす原因としては
内側側副靭帯損傷を引き起こす理由は大きく分けると接触型と非接触型があります。
- 接触型
接触型は、人と人とが接触するコンタクトスポーツや交通事故などで、太ももの骨に対してすねの骨が外側にずれようとする力や膝の部分で外側へと曲がったり捻ったりする力が直接膝に加わることで受傷した場合。
- 非接触型
非接触型は、ジャンプ後の着地時や急激な方向転換、急なストップ動作などにより発生する太ももから下を膝を支点に外側へと曲げたり捻ったりする力が間接的に膝に加わることで受傷した場合。
内側側副靭帯損傷を引き起こす受傷頻度の高いスポーツとしては、柔道、サッカー・ラグビー・アメリカンフットボール・テニス・スキー・スノーボード・バスケットボール・体操などが挙げられます。
内側側副靭帯を損傷すると
内側側副靭帯を損傷すると、歩行や運動により膝関節の内側に痛みを感じたり、膝の内側が腫れたり、膝の内側を押すと痛みが出たりします。
また膝を動かせなくなる運動制限が出ることも多く、場合によっては膝関節の中に血が溜まったり膝の関節から下が外側へぐらついたりします。
内側側副靭帯の分類
膝内側側副靭帯損傷は、程度により3つに分類されます。
- Ⅰ度 小範囲の線維の断裂で、痛みのみで膝の不安定性を認めない
- Ⅱ度 軽度から中等度の靭帯の断裂で、痛みがあり30度膝屈曲位で主に左右方向に不安定である
- Ⅲ度 靭帯の完全断裂で、痛みが強く30度屈曲位と完全伸展位で不安定である
また、内側側副靭帯損傷は単独損傷が多いものの、前十字靭帯や半月板損傷などを合わせて痛めている重篤なケースもあります。
内側側副靭帯を疑うとき
当院では先ずは痛めた時の状況を詳しく伺います。
痛めた時の足の角度やどのような動作で痛めたのか、相手の体重がどのように膝に加わったのかなどが分かればどの靭帯を傷める可能性があったのか分かります。
そして痛みがどの程度なのか、歩行は可能かなども伺いながら患部の腫れや皮下出血の有無、熱感などを確認します。
それにより痛みの程度をある程度把握できれば、出来るだけ丁寧に徒手検査を行います。
マックマレーテストやラックマンテスト、内外反ストレステストや膝蓋跳動などを確行い、損傷した部位や程度、合併損傷の有無などを確認します。
医療機関ではレントゲンにてストレス撮影を行いますが(太ももの骨に対してすねの骨が外側に開くような力を加えた瞬間を撮影するもの)レントゲンのみでストレス撮影はしない場合もあります。(ストレス撮影は両方の膝に行い、痛めた方と痛めていない方をを比較した方がその損傷度が分かりやすくなります)
また、エコー検査やMRI検査が行われることもあります。
内側側副靭帯損傷になったら
Ⅰ度ではRICE処置(安静・アイシング・圧迫・拳上)、Ⅱ度では固定による保存療法が一般的となっています。
しかしⅢ度損傷や前十字靭帯や半月板損傷を合併している場合は、靭帯の縫合手術が行われるのですが単独損傷の場合はギプス固定や装具固定などの保存療法が用いられることもあります。
その後、回復の程度に合わせて、筋力トレーニングや可動域訓練などを行っていきます。
内側側副靭帯損傷は、損傷の程度や合併損傷の有無、運動復帰の予定や目標により、治療やリハビリにかかる期間も変わってきますが期間で決めるよりは、2週間の固定で膝のぐらつきを確認し、ぐらつきが大きい場合はさらに1週間固定するなどの判断をした方がいい場合もあります。
そのために合併症などの有無も含め、治療前やその途中では正確な判断力と見極める技術が必要となります。
膝周りの痛みや違和感などの症状でお困りの方は、ぜひ当院にご相談ください。
〒545-0021
大阪市住吉区長居西3-1-33
藤田鍼灸整骨院
06-6698-4568
参考文献
廣川 俊二・山本 耕之・鶴野 玲治・川田 高士(2000)『膝内側側副靭帯損傷の生体力学的検討』バイオメカニズム 15巻,51-62
豊島 良太・榎田 誠(2007)『臨床解剖と生理』最新整形外科学大系,第17巻,第一章,膝関節部の構造と機能.中山書店