胸郭出口症候群ー首や肩のだるさやこり感・腕や手のだるさやしびれ

大阪市住吉区長居西藤田鍼灸整骨院

胸郭出口症候群(TOS):首のこり感、肩のこり感、背中のこり感、手のしびれやだるさ、腕のしびれやだるさ、手や腕の痛み、手指の冷感など

 

胸郭(きょうかく)とは

 

肺や心臓などの胸の部分にある臓器は、胸の全面の真ん中にある胸骨(きょうこつ)と背骨、胸骨から円を描きながら背骨に付く肋骨で形成された樽状のスペースの中で守られています。この樽状のスペースが胸郭です。

胸郭|大阪市住吉区長居藤田鍼灸整骨院

胸郭

 

その胸郭の上部にある第一肋骨と斜角筋という筋肉、鎖骨で作られる部分は胸郭出口と呼ばれています。

そして、そこには重要な血管や多くの神経が通っています。

胸郭出口|大阪市住吉区長居藤田鍼灸整骨院

胸郭出口

胸郭出口側面|大阪市住吉区長居藤田鍼灸整骨院

胸郭出口側面

 

胸郭出口症候群とは

 

胸郭出口症候群とは、重要な神経や血管が通っている胸郭出口周辺に何らかの問題が生じ、神経や血管が圧迫されたり引っ張られたりすることにより、手や腕の痛みやしびれなどが引き起こされてしまう状態のことです。

 

胸郭出口症候群の分類

 

胸郭出口の辺りで神経や血管が障害される個所は主に3っつあるのですが、その3か所で引き起こされる障害は次のように分類されています。

 

①斜角筋症候群(障害部位:前斜角筋と中斜角筋の間)

 

胸郭出口斜角筋症候群|大阪市住吉区長居藤田鍼灸整骨院

胸郭出口斜角筋症候群

胸郭出口斜角筋症候群|大阪市住吉区長居藤田鍼灸整骨院

胸郭出口斜角筋症候群

 

②肋鎖症候群(障害部位:鎖骨と第1肋骨の間の肋鎖間隙)

 

胸郭出口肋鎖症候群|大阪市住吉区長居藤田鍼灸整骨院

胸郭出口肋鎖症候群

胸郭出口斜角筋症候|大阪市住吉区長居藤田鍼灸整骨院

胸郭出口肋鎖症候群

 

③過外転症候群(障害部位:小胸筋が肩甲骨の烏口突起に付く部分の後方)

 

胸郭出口過外転症候群|大阪市住吉区長居藤田鍼灸整骨院

胸郭出口過外転症候群

 

主に、この①~③の障害を総称したものが胸郭出口症候群と呼ばれます。

胸郭出口症候群は他に、頚椎から出た神経が交差して作られる腕神経叢や鎖骨下動静脈が、筋肉による圧迫や神経が引っ張られるとにより発症しますが、まれに頚肋という頚椎から出る余分な骨が原因となって発症することもあります。頚肋はすべての人にあるわけではなく稀なものなのですが、頚肋が存在すると、腕神経叢や鎖骨下動脈がより一層圧迫を受けやすい状況になるため、胸郭出口症候群を発症しやすくなります。

また、男性の場合は20歳~50歳の筋肉質な方や、よくスポーツをする人に発症しやすいと言われているタイプの胸郭出口症候群もあります。それは、筋力トレーニングのやりすぎにより、大きくなり過ぎた筋肉が神経を圧迫するケースとなります。

 

胸郭出口症候群の特徴

 

胸郭出口症候群はなで肩の女性に多く、35歳から55歳ぐらいの間によく発症するといわれています。

 

胸郭出口症候群を引き起こす原因には、次のようなものが上げられます。

 

  • 解剖学的異常(骨や筋肉、血管などの構造に問題がある場合など)
  1. 第一肋骨、鎖骨の骨性異常
  2. 頚肋
  3. 斜角筋異常
  4. 線維性索状物
  5. 鎖骨下動静脈の異常

 

  • 筋肉のアンバランス(筋肉が硬くなったり引っ張られたりすることなど)
  1. 斜角筋症候群
  2. 小胸筋症候群
  3. 鎖骨下筋緊張
  4. 中斜角筋症候群

 

  • 姿勢または生活環境因子(姿勢や日常生活の中にある動作などが問題となるケース)
  1. 不良姿勢
  2. 上肢頭上拳上労働姿勢
  3. 重量物拳上
  4. 肋鎖症候群

 

  • 外傷(いわゆるけが)
  1. 斜角筋損傷
  2. 腕神経叢の牽引損傷
  3. 鎖骨、肋骨骨折
  4. むち打ち損傷
  5. 上肢または脊椎への外傷
  6. スポーツ外傷

 

  • その他
  1. 腫瘍、炎症(ウイルス・放射線・膠原病など)
  2. 胸郭または上肢の手術
  3. 中心静脈栄養(IVH)による血栓
  4. 動揺肩、下垂肩

 

胸郭出口症候群になると

 

肩や背中のこり感、腕や手のしびれや脱力感、倦怠感や痛み、冷感、手首の手のひら側の親指寄りの拍動の減弱などがあります。

 

日常動作の中では、つり革につかまる時や、洗濯を干す時などの腕を上げたままにする動作、自転車に乗っている時の腕の角度により、上肢や手のしびれ、肩甲骨周囲にこり感や痛みを感じます。

 

しびれは前腕の小指寄りや手の薬指と小指に感じることが多く、これは尺骨神経に相当する部分が圧迫を受けやすい状態にあるためと考えられています。そのしびれは「ここ!」とはっきりするような感じではなくじわっとしびれるような感じが多いです。

 

また、胸郭出口部分には交感神経線維が存在するため、自律神経障害が発現することもあります。

この場合の自律神経障害としては、頭痛・不眠・眼症状・めまい・嘔吐・食欲不振・倦怠感などの様々な不定愁訴になります。

 

胸郭出口症候群を疑うとき

 

胸郭出口症候群の判別には徒手検査法を用います。

胸郭出口症候群で行うべき徒手検査法は次のとおりです。

 

アドソンテスト

ライトテスト

エデンテスト

モーリーテスト

ルーステスト

 

胸郭出口症候群に対する治療を行ってもあまり変化が見られない場合は、骨によって引き起こされる障害を疑ってレントゲン撮影やMRI撮影が必要になることもあります。

また、胸郭出口症候群を疑う場合は、必ず頚椎疾患や末梢陣形障害の有無を調べて、それらではないことを確認することが大切です。

胸郭出口症候群であった場合に感じるしびれやだるさ、痛みなどは、頚椎疾患や末梢神経疾患などでも起こりうる症状であるために、それを怠ると本来必要な治療や生活改善が出来なくなるからです。

 

胸郭出口症候群になったら

 

胸郭出口症候群は、筋肉や筋力のアンバランスや姿勢など、筋肉による圧迫や牽引が原因となっているものが多いために、筋肉の緊張や硬さを取り除くことはとても重要なポイントとなります。

その他、骨性のものであっても、その周囲には筋肉がありますから、やはり筋肉の緊張や硬さを考えることは大切です。

よって当院では、筋肉の状態をできるだけ細かく指先で確認し、筋肉の硬さやつっぱり、むくみなどをなくすための施術から始めていきます。

施術中は患者さまの生活にとって良いことと悪いこと、おすすめの運動方法や控えて頂きたい動作などをお伝えします。

たとえば筋肉や運動量の少ない女性の場合は、運動を行うことで少しずつ筋肉を付けることや、冷えの改善を心掛けることもポイントとなります。

男性で自分の体をかなり追い込んでいるのであれば、女性の場合とは逆にトレーニングよりも思い切って体を休めることが必要となる場合もあります。

 

胸郭出口症候群は、生まれ持った体質や体形、仕事や趣味などの生活環境が関係している場合も多いです。

よって、なかなか回復せずに困っている方は、生活環境や体の状態を根本から変えることに取り組むという意識がなければ、胸郭出口症候群を本当に克服することは難しくなります。

大変ですが、なかなか回復しない方は、根気よく少しずつ正しい努力を積み重ねることが最短で最もよい手段となります。

それでも回復しない場合は、物理的な圧迫が強い場合や頚肋が原因になっている場合、回復方法が間違っている場合などが考えられます。

 

首や背中、肩や腕のしびれやだるさ、こり感などでお悩みの方、正しい施術と正しい生活改善はぜひ当院にご相談ください!

 

大阪市住吉区長居西3-1-33

藤田鍼灸整骨院

06-6698-4568

 

参考文献

 

山鹿 眞紀夫・高木 克公・森沢 佳三・井手 淳二・生田 拓也・北川 敏夫・鬼木 泰博・山隈 維昭(1988)『胸郭出ロ症候群 における自律神経障害の検討―心電図R-R間 隔変動 を用 いた 自律神経機能検査法に関 して―』 肩関節 12巻 2号,129-133

 

永田 見生・後藤 博史・高木 久雄『頚腕症候群の診断と治療-狭義と広義の頚腕症候群-』Orthopaedics Vol.13 No.12 1-9

アクセス

藤田鍼灸整骨院

〒558-0002 大阪市住吉区長居西3丁目1-33
【アクセス】御堂筋線 長居駅より約5分
                  JR阪和線 長居駅より徒歩5分(1.8km)

ご予約・お問い合わせはこちらからどうぞ

診療時間