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コンパートメント症候群:手足のしびれ、手足の痛み、筋肉の痛み、筋肉の腫れ、外傷やスポーツでのオーバーユースによる循環障害や阻血、組織の壊死や神経麻痺
コンパートメントとは
筋肉の構造は筋繊維と呼ばれる複数の細い筋細胞を筋周膜で包み、その筋周膜で包んだ筋繊維の束は筋繊維束と呼ばれます。
そしていくつかの筋繊維束を筋上膜で束ねたものが骨格筋であり、全身にある骨格筋1つ1つの中には血管や神経も存在します。
また、骨格筋の周りには骨や骨間靭帯が存在し、骨格筋はそれらの骨や骨間靭帯に囲まれる形で区分けされ、区分けされた1つ1つの区画のことを筋区画(コンパートメント)と呼びます。
コンパートメント症候群とは
コンパートメント症候群とは外傷による筋肉や血管の損傷や運動により、その筋区画内の圧力が高まると、その圧力により筋区画内にある血管や神経、筋肉自体を圧迫されることで起こる障害です。
圧迫が起きると循環障害が発生し、筋や神経の機能障害を起こします。
コンパートメント症候群は、主に四肢の障害であり下腿や前腕によく発生しますが、特に発生するのは下腿です。(その他腹筋などでも起こります)
下腿のコンパートメント症候群の場合
下腿には、前方、外側、浅後部、深後部の4つのコンパートメントが存在します。
・前方コンパートメント:最も頻度が高く、疼痛、腫脹、圧痛が下腿前外側にあり、深腓骨神経領域の母趾と第2趾間の知覚低下、足関節背屈の筋力低下があり、下腿の前部を伸ばすように足首を底屈させると足関節と足趾に痛みが出ます。
・外側コンパートメントで:圧痛は外側にあり、浅腓骨神経領域である下腿外側の知覚障害、足の裏を外側に向けるようにする(外返し)力の低下、足の裏を内側に向けると下腿の外側に痛みが出ます。
・浅後部コンパートメント:ふくらはぎに圧痛があり、下腿の外側の下方や足部の外側の知覚障害、足関節背屈の筋力低下、足関節を背屈しふくらはぎを伸ばすようにするとふくらはぎに痛みが出ます。
・深後部コンパートメント:圧痛は下腿内側にあり、足の裏の内側の知覚障害が見られ、足首を下に向ける筋力や足趾を反らす筋力の低下、足趾を反らすような動
コンパートメントの特徴
コンパートメント症候群には急性型と慢性型があり、急性型は場合によっては筋や神経の組織が壊死して重大な障害を残すこともあります。
急性型はラグビーや柔道などのコンタクトスポーツの外傷後またはギプス固定などにより、慢性型はスポーツ時に発症することがあります。
急性型の初期の症状としては疼痛、腫脹、感覚障害、運動障害などがあります。また問題のコンパートメントがある筋肉群をストレッチするように伸ばすと強い疼痛が発生するのが特徴的な症状です。
慢性型はスポーツをすると痛みやこわばり感が出て安静時には無くなることが特徴です。
しかし、適切な処置を行わなければ、次第にレベルの高いスポーツを続けることが難しくなります。
またコンパートメント症候群は、薬物や咬傷、火傷などでも出ることがあるようですから注意が必要です。
コンパートメント症候群の対応としては
通常、筋肉をケガした時には応急処置として、安静、冷却、圧迫、挙上を行うことで内出血や腫脹を防ぎます。
しかし、手足にしびれや痛み、血行障害を生じた場合は、急性型のコンパートメント症候群を疑わなければなりません。
急性型のコンパートメント症候群を疑う場合には、内圧を測定できる医療機関で調べてもらえればいいのですが、処置が遅れれば筋肉壊死や神経麻痺を起こしてしまいます。
いったん急性のコンパートメント症候群と言われるような状態が始まると急速にひどくなることも多いです。
よって疑われる症状が急激に消失せずに筋区画内圧が40mmHg以上であれば出来るだけ早く筋膜切開(減張切開)を行う必要があります。
慢性型の場合は保存療法として、ストレッチやテーピングを行いますが、症状が改善しなかったり、運動再開とともに再発を繰り返したりする場合には、筋膜切開を行うこともあります。
急性型でも慢性型でも切開を行うと術後の成績はよく、競技レベルでのスポーツ復帰も可能なので専門医とよく相談し、しっかりと経過を見て頂き判断をしてもらいましょう。
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藤田鍼灸整骨院
06-6698-4568
参考文献
内藤 正俊(2007)『下腿コンパートメント症候群』最新整形外科学大系.中山書店.